『古美術かぞえうた―名前に数字がある作品―』根津美術館で 作品名のなかにある数字から鑑賞の糸口を見出す
古美術の充実したコレクションを誇る東京・南青山の根津美術館は、自館の収蔵品を様々な視点からひもとく企画展を定期的に開催している。 6月1日(土)から7月15日(月・祝)まで開催される今回の企画展の着眼点は「数字」。『古美術かぞえうた』という愛らしいタイトルのもと、名前に数字が織り込まれた多彩な収蔵品が勢揃いする。
ものの数量や分量、順序や回数を表す数字は、確かに私たちの身のまわりにあふれている。そして、古美術作品の名前でも、数字をともなうものは少なくないのだとか。意味があって名前に織り込まれた数字は、その作品の特徴を端的に示すものだが、その数字が意味する内容は一様ではない。ときに形を意味したり、技法を示唆したり、作品の形式を表したり……。同展は、そうした作品名の中にある数字に注目することで、作品の鑑賞や理解の糸口になることを期待して企画されたという。
例えば、花を生ける窓がひとつの花入は「一重切(いちじゅうぎり)」と呼ばれるが、これは数字が花入の形式を表しているもの。釉薬を用いて焼成する陶器の「三彩」や「五彩」は色の数を表すと同時に、技法にも関わっている。「四方鉢」や「六角鉢」のように、四角や六角の器の形を表すものもあれば、乱世を避けて隠居した4人の老人を描く《商山四晧図(しょうざんしこうず)》や《七夕図》のように、中国の故事にちなむ画題もある。また、《五徳義書巻(ごとくぎしょかん)》のように、儒教で説く5つの重要な道徳観念を記したものや、中国の名勝「瀟湘八景(しょうしょうはっけい)」のように、決まった組み合わせを示すものもある。なかでも長大な数字をもつのは、《百万塔》。奈良時代に死者を弔うために実際に100万基の小塔がつくられ、10寺院に10万基ずつが納められたが、現在は一部が残るのみで、1基でも「百万塔」と呼ばれるのだという。
《織部縞文四方鉢》 美濃日本・桃山~江戸時代17世紀根津美術館蔵
数字をきっかけに、こうした解説を読んでいくと、作品の理解が深まるのが同展の大きな魅力だ。また登場する作品が書や絵画、陶磁や漆工、金工、木竹工など多岐にわたる点も楽しみなところだろう。
なお、同時開催の小企画展『江戸→東京 -駆け抜ける工芸-』と『季夏の茶の湯』では、明治期の漆工と金工、そして季節の茶道具も堪能することができる。
《青井戸茶碗銘 凉及》 朝鮮・朝鮮時代16世紀根津美術館蔵
<開催概要>
企画展『古美術かぞえうた―名前に数字がある作品―』
会期:2024年6月1日(土)~7月15日(月・祝)
会場:根津美術館
時間:10:00~17:00
休館日:月曜(7月15日は開館)
料金:一般1,300円、大高1,000円※日時指定予約制
公式サイト:
https://www.nezu-muse.or.jp/
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