【おとな向け映画ガイド】酒で人生急展開!?マッツ・ミケルセン主演『アナザーラウンド』、観たらきっと元気をもらえる『テーラー 人生の仕立て屋』をご紹介。
【おとな向け映画ガイド】
酒で人生急展開!?マッツ・ミケルセン主演『アナザーラウンド』、観たらきっと元気をもらえる『テーラー 人生の仕立て屋』をご紹介。
ぴあ編集部 坂口英明
21/8/29(日)
植草信和さんの水先案内をもっと見る(https://lp.p.pia.jp/shared/pil-s/pil-s-21-01_3e450949-b7de-486f-943d-9cf07c038d26.html)
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人生、メジャーでは測れない! 『テーラー人生の仕立て屋』
アルチザンの矜持、そんな言葉が頭に浮かびました。ギリシャのテーラー、仕立て屋さんのお話です。
紳士服仕立て、テーラード・スーツというのは、どの国でもそろそろ下火の商売。父の代からこの家業を営む主人公ですが、客足は落ち、店の家賃が払えません。気位の高い父は病に倒れ、にっちもさっちもいかなくなって、彼は商売道具を荷車にまとめ、街頭で、露店の“移動仕立て屋”を始めます。でも、そんなところでスーツを買う人はいません。シャイな彼の前を通りかかるのは魚や野菜を買う女性ばかり。
ウェディングドレスを作ってくれない?お金はないけれど娘に贈ってあげたい。
ある日そんな注文を受けます。背に腹はかえられない。恐る恐る、近所の裁縫上手な奥さんに教わりながら、女性の洋服、それも結婚衣装にチャレンジします。14歳から縫製の修行をしてきた彼、腕はいいのです。広場の、生魚を売る店の隣だろうと、きちんと三揃いのスーツを着て、ていねいなお客様対応もします。ちゃんとした仕事をすれば理解してくれる人はいる。お天道様は見ているのです!やがて……。
髪の毛をきちんと整え、磨き上げた革靴を履き、寡黙だけれど、凛として。
まさに紳士です。この時代に、決して生き方がうまいとはいえず、かえってコミカルな印象さえありますが、なにか、共鳴してしまいます。演じているのは。ギリシャのベテラン俳優、ディミトリス・イメロス。監督と脚本は、この作品が長編初となるソニア・リザ・ケンターマン。本国の映画祭で国営放送協会賞など三冠を獲得。世界各国の映画祭でも絶賛されています。
太陽の国ギリシャ。
エーゲ海沿いの町を、荷台に乗せた美しいドレスをはためかせ、オートバイでひた走る、三つ揃いを着たテーラーの姿は微笑ましく、きっと元気をもらえると思います。
【ぴあ水先案内から】
恩田泰子さん(読売新聞記者)
「……監督は、視覚的な魅力に富んだキートンやタチの映画を参照したというが、さもありなん。古き良きものの中にある普遍的な魅力を主人公の存在を通して、きっちり描き出している。そしてそれが、そのまま今の世の中からはみ出した者への賛歌にもなっている。……」
恩田泰子さんの水先案内をもっと見る(https://lp.p.pia.jp/shared/pil-s/pil-s-21-01_f6759111-80f9-4d1a-917c-470656650ddf.html)
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