2023年6月16日 12:00
『THE DAYS』監督に聞く、原発事故を克明に描くための決意。「暗闇と瓦礫の中をいく、それしかない」
つまり、この作品では徹底して“当事者の目線”になってつくっていくしかないと考えました」
通常の映画やドラマでは監督や演出家が作品全体のバランスを見てプランを立て、カメラ位置なども含めた“語りの位置や視点”を構成していく。しかし、本作で西浦監督はキャスト、スタッフと共に“当事者の視点”になることを選んだ。
「通常の作品であれば、台本のこのポイントで“フリ”があって、ここで盛り上がって……と考えますよね。でも、この作品ではそのやり方を捨てました。撮影現場で自分も“当事者の目線”になって、そこで自分が何を感じ、何を思うのか?それをいかにしてキャストとスタッフに伝えていくか?その方法しかないと思ったんです。
今回集まってくださったキャスト、スタッフは本当にすごい方ばかりなので、私の想いをすぐに理解してくださいましたし、撮影をする中ではいつも台本に書かれている先の展開よりも“いま感じていること”を大事にしようと話し合いました」
役者には“キャラクター”というより“時間”を演じてもらった
監督が指示を出して演出をするのではなく、そこにいる全員で一緒に暗闇と瓦礫の中を進み、そこで得た感情や表情、光景を記録していく。