2021年9月7日 11:00
桐谷健太「観る人の心を揺さぶる何かがある」『醉いどれ天使』開幕
撮影:田中亜紀
『醉いどれ天使』が、9月5日に東京・明治座で開幕した。初日公演の様子をレポートする。
戦後の闇市を舞台に、混沌とした時代を生き抜こうともがく人々の姿を鮮やかに活写した映画『醉いどれ天使』。名匠・黒澤明と主演・三船敏郎コンビの初タッグ作(1948年)は、公開されてから約半年後に原作とほぼ同じキャスト・スタッフによって舞台化された。2021年版となる今回は、三船が演じた主人公・松永に桐谷健太がキャスティング。高橋克典、佐々木希、田畑智子、篠田麻里子、高嶋政宏らも名を連ねるほか、脚本を蓬莱竜太、演出を三池崇史が手がける。
劇中では、闇市を支配するヤクザ・松永と、酒好きで毒舌の町医者・真田(高橋)を中心とする壮絶な人間ドラマが展開。松永が激しく咳き込む様子を見た真田は、肺病を疑って治療を勧める。言うことを聞かずに診療所を飛び出した松永の病状は次第に悪化し、情婦のダンサー・奈々江(篠田)は彼のもとを離れていく。同郷の幼なじみ・ぎん(佐々木)や診療所で働く美代(田畑)が松永の身を案じる中で、兄貴分の岡田(高嶋)が出所。松永の采配によって落ち着きを見せていた闇市のパワーバランスに変化が訪れて──。