『ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者』そごう美術館で 多彩なミュシャ芸術の魅力を初来日作品約90点を含む約170点で紐解く
アール・ヌーヴォーを代表する作家として知られ、のちにチェコの国民的芸術家となったアルフォンス・ミュシャ(1860-1939)の多彩な芸術活動に焦点をあてた展覧会が、11月23日(土・祝)から2025 年1月5日(日)まで、横浜のそごう美術館で開催される。
チェコに生まれ、27歳でパリに出たミュシャは、1894年の年末にパリの大女優サラ・ベルナールのために制作したポスターで大評判を得て、一躍パリの人気作家となった。流麗な線と華やかな色彩で美しい女性像を描いた洗練された作品によって、アール・ヌーヴォーの旗手として活躍。サラのための舞台装置や衣裳、ジュエリーをデザインするとともに、香水やお菓子のパッケージなど商業美術も幅広く手がけたが、後年はスラヴ民族の歴史を描いた大作の連作《スラブ叙事詩》をはじめ、祖国チェコのための作品制作に力を入れ、78歳でプラハの地で逝去した。
書籍『装飾アルバム』より《ビザンティン》(pl.46)1900年チマル・コレクション
同展は、チェコのモラヴィアに住む医師ズデニェク・チマル博士が、両親らの収集品をさらに充実させて構築したチマル・コレクションを紹介するもの。ミュシャを代表する美麗なポスター作品や装飾パネルに加え、初期作や素描、水彩、油彩などの貴重な直筆作品、宝飾品やデザインを手がけたプロダクト、書籍や装飾デザイン用の資料集など、多彩な作品が含まれた包括的なコレクションであることがその特徴だ。