2022年3月25日 18:00
演出・石丸さち子「すべての思いを、舞台の上に載せて」 鈴木勝吾主演舞台『ひりひりとひとり』6月上演決定
とコメントを寄せている。
<石丸さち子コメント全文>
『ひりひりとひとり』は、稽古と上演期間が2020年の緊急事態宣言発令期間に重なり、上演できなかった作品です。
2022年に改めて初演に立ち向かうと決まった時から、その書き直しの方向性について、ずっと考え続けてきました。
世界の、演劇界の、「ひりひり」した感覚が、大いに上書きされてしまったからです。
それが。新しく書き直したものは作者にも演出家にも馴染まず、結局一周二周して、ほぼ元の形に戻ってきました。
初演の公式サイトに、わたしはこう書きました。
「演劇は、今も昔も、世界を映す鏡です。
そして世界は、数え切れないひとりひとりの、書き換え不可能な一瞬を積み重ねています。
たったひとりを描くこと、ほんの一瞬を描くことが、世界を描くことになり、永遠を描くことになりうる......という可能性に、いつも表現者は無限の夢を抱き、希求し続けます。」
上演はできなかったけれども、「工藤春男」という主人公はすでに生まれていて、その過去や現在を、簡単に変えるなと、彼から訴えられているようでした。本作で光をあてる、そのひとりの職業は、俳優です。