くらし情報『あらゆる困難を鎮めるために演劇はある 『子午線の祀り』成河インタビュー【前編】』

2021年2月17日 07:00

あらゆる困難を鎮めるために演劇はある 『子午線の祀り』成河インタビュー【前編】

成河 撮影:源賀津己

撮影:源賀津己



日本演劇史上、忘れてはならない不朽の名作『子午線の祀り』。『平家物語』を核に、宇宙からの視線で人間の営みを見つめた木下順二による壮大なスケールの叙事詩であり、生身の観客にダイレクトに問いかけてくる、現代劇の金字塔でもある。1979年の初演時から、能・狂言、歌舞伎、現代演劇など異なるジャンルの俳優が集い、「群読」というコーラスのような独特の朗誦を行うスタイルも大きな特徴。2017年の野村萬斎による新演出版から源義経役を演じる成河にとっても、かけがえのない作品になったようだ。

「レシピ通り」に作る事で見えてくる世界

――義経役は、これまで狂言の野村万作、歌舞伎の市川右近(現・右團次)と、ジャンルとしては古典演劇の俳優さんが担ってきた役の印象があります。

その棲み分けは、木下順二先生の中にもたぶんあったでしょう。初演時は作品を立ち上げる段階で、カンパニーの顔ぶれを見ながら創っていかれたのだと思います。大ざっぱに分けちゃうと、モノローグに重心を置いた人物か、ダイアローグに重心がある人物か。
それでいくと、義経は確かに伝統芸能のモノローグ的な語り口ですし、平家を支える豪族の阿波民部重能役は、ダイアローグが多くて新劇の俳優さんが演じてきた役。

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