くらし情報『自分には書けない/自分にしか撮れない。是枝裕和監督が語る映画『怪物』』

2023年6月7日 12:00

自分には書けない/自分にしか撮れない。是枝裕和監督が語る映画『怪物』

興味深いのは、それぞれのブロックで物語を語るリズム、映像のルック、カメラの動きが驚くほど異なっていることだ。(劇中で明示されるわけではないが便宜上、本稿ではこのブロックを一章、二章、それ以降の章を終盤の章と記載する)。

「最初に一章と二章の脚本を読んだ時に“これは自分には書けないな”と思ったんです。坂元裕二、恐るべき才能だと思いましたね。何かが起きそう、という不穏な感じがずっと続いていて、それだけで物語が進んでいく」

その結果、本作の一章と二章はこれまでの是枝作品にはない語りのリズム、カット数、アングルが選択されている。

「たぶん、脚本がそのようなリズムを求めていたんだと思います。だからそこは自分なりの脚本に対するアプローチのしかたで、一章・二章のリズムと終盤の章のリズムを変えるということは意識していました。それに一章と二章はセリフも、キャラクターの輪郭も、際立ち方も自分がこれまでにつくってきたものとはまったく違う。
そこは面白かったです。

僕は自分自身の作家性というか、そういうものがあまり好きではないので、消せるものなら消したいと思っていますから、そういう意味では一章と二章は自分の作家性とかどうでもよくて、この脚本をどうしたら面白くなるか、その目線で見たときにいろんなことがクリアになった。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.