石丸幹二が円熟味を増した多彩な表情と歌声で魅了 音楽劇『ライムライト』上演中
20世紀初頭のロンドンという時代背景を象徴するかのように、舞台上ではガス灯の光がゆらめいている。その光はライムライト―電灯以前に舞台照明として用いられていた石灰灯―であり、またカルヴェロとテリーにとっては人生を照らす光でもあるだろう。人の心の温かさと人生のほろ苦さとを感じさせる、極上のヒューマン・ストーリー『ライムライト』。チャールズ・チャップリン監督・製作・脚本・主演の映画から生まれた音楽劇が開幕。初日に先立って、前日の8月2日にゲネプロが行われた。
熟成された人間ドラマを奥深い歌声で味わう
1914年のロンドンで、かつて人気芸人だったものの今は落ちぶれてしまったカルヴェロ(石丸幹二)は同じフラットに済むテリー(朝月希和)がガス自殺を図ろうとしていたところを救い出す。彼女はバレリーナの道をめざす自分を姉が街娼をして支えてくれていたことを知り、そのショックで足を動かせなくなっていた。なんとか彼女を舞台に戻したいと心を配るカルヴェロに対して、テリーは徐々に心を開いていく。
そんな中、再起をかけた舞台での失敗に苦しむカルヴェロを目の当たりにしたテリーは、思わず立ち上がり足を踏み出す。