2023年4月21日 12:00
「重要なのは、矛盾の“間”に立つこと」池松壮亮が語る映画『シン・仮面ライダー』
華麗に変身し、敵を倒した後に何事もなかったかのように人間に戻れるわけではない。オーグメントされた人間はもう元の姿には戻れないのだ。
「そこは考えました。重要なのは、矛盾の“間”に立つこと、だったんです。今回の仮面ライダーは暴力というものと葛藤している人間で、基本的には“戦いたくない”男。でも、仮面(マスク)をかぶることで“制御できない暴力性”が出てしまう。暴力を行使したくないと思ってしまう、『マスクを脱いだ時の“人間性”』と、『マスクをかぶった時の暴力性』の“間”ですよね……。この映画は、いわゆる「改造」されてしまった者と、理性のある人間の“間”に立つ者が、その矛盾と葛藤を乗り越えて、最終的な変身を遂げるストーリーだと思っています。
劇中に出てくる他のオーグはSHOCKERによって人間から完全にオーグメントされてしまった存在なんです。ですから元は人間です。一方、仮面ライダーは半分は人間として暴力性をギリギリ制御できるだけの能力を精神力によって保っています。仮面ライダーは“表に立つヒーロー”ではなく、影の部分を背負ってその風圧に耐えながら生きているようなヒーローだと思います。その点を考える上でも“オーグメント”つまり改造人間であることは重要でした」