ねり美とふる文が初コラボ!『もっと浮世絵で行こ!』1月25日から 二館が所蔵する浮世絵から約70点を公開
いずれも東京都練馬区にある区立のミュージアムながら、主な収蔵品や展覧会の性格の違いから、これまで共同企画を開催することのなかった「練馬区立美術館(ねり美)」と「練馬区立石神井公園ふるさと文化館(ふる文)」。この二館がともに収蔵する「浮世絵」の作品群で初コラボする展覧会が、2026年1月25日(日)から3月8日(日)まで、石神井公園ふるさと文化館を会場に開催される。
渓斎英泉《江戸町一丁目和泉屋内泉寿しかのかのこ》文政前期(1820)頃大判錦絵練馬区立石神井公園ふるさと文化館蔵
同じ浮世絵コレクションでも、両館それぞれに個性があるという。「ふる美」の浮世絵コレクションは、石神井村の名主だった栗原家に伝わった幕末の多彩なジャンルの浮世絵約130点を核とし、練馬の歴史に関連する浮世絵資料も含むもの。このコレクションからは、江戸時代の人々がどのように暮らし、どんな娯楽や出来事に一喜一憂していたかが見えてくる。歌舞伎のスターを描いた役者絵は今で言う“推し”のグッズにあたるし、浮世絵はまた災害や事件の伝達や政権批判のメディアとしても機能していた。こうしたことからも、江戸の人々の営みが遥か遠いものではなく、現代の暮らしと地続きであることがわかるという。
小林清親《高輪牛町朧月景》明治12年(1879)大判錦絵練馬区立美術館蔵
一方、2015年に「最後の浮世絵師」と呼ばれる小林清親(きよちか)の大回顧展を開催した「ねり美」は、その際に紹介できなかった作品を中心に2021年にも清親展を開催。
この2つの展覧会をきっかけとして集まった明治期の浮世絵が、「ねり美」の浮世絵コレクションの核となっている。伝統的な技法を用いながらも、これまでとは全く違う光と影、季節や天候、空気感を表現した清親は、鉄道や電線、洋館などが点在する新時代の東京名所図を生み出しており、現在により近い近代化した東京の様子を斬新な手法で見せてくれる。
小林清親《常盤橋内紙幣寮之図》明治13年(1880)大判錦絵練馬区立美術館蔵
今回の展覧会は、その両館の計約70点の浮世絵によって、幕末から明治にかけての江戸・東京の人々の営みを紹介するもの。美人画や役者絵、観光スポットや季節のイベント、市井の風物を織り込んだ名所絵、「寄せ絵」の手法を使ったナンセンスな戯画、さらに妖怪絵や幽霊画、流行や世相をテーマとした諷刺画など、様々なテーマの浮世絵が登場するのが同展の楽しみなところだ。
歌川国芳《人をばかにした人だ》弘化4年(1847)頃大判錦絵練馬区立石神井公園ふるさと文化館蔵
<開催情報>
『ねり美・ふる文コラボ企画 もっと浮世絵で行こ! 幕末明治の暮らし、娯楽、事件…』
会期:2026年1月25日(日)~3月8日(日)
会場:練馬区立石神井公園ふるさと文化館 2階企画展示室
休館日:月曜、2月24日(火)(ただし2月23日(月・祝)は開館)
時間:9:00~18:00
料金:無料
公式サイト:
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202511091762668548