自由、野生、ユーモア、ナンセンス溢れる、ねこのような現代美術を紹介『ねこのほそ道』2月25日より開催
猫とアートの間には親和性がある。現代美術を通して見た「猫的なるもの」を紹介する展覧会『ねこのほそ道』が、2月25日(土)〜5月21日(日)、愛知県の豊田市美術館で開催される。参加アーティストは泉太郎、岸本清子、五月女哲平ら現代美術家の6名と、2名の建築家だ。
猫カフェ、猫動画など止まるところを知らない昨今の猫ブーム。美術の世界でも、古くは浮世絵師の歌川国芳、近代画家の菱田春草や藤田嗣治など多くの画家が描いてきた。さらに現代美術を通して猫を眺めると、かわいらしさだけでなく、日常性、くつろぎ、ユーモア、野生などさまざまなキーワードが浮かび上がる。
例えば、背景のない構図、油絵の具で写実的に描かれた猫。作者の佐々木健は、あえて近代肖像画と同じスタイルを用いて、「大きな主題」を解体し、日常のささやかなものへと眼差しを向ける。
あるいは、犬のように人間の指令に従うことなく、自分で触れ、嗅ぎ、見ることに頼る猫。落合多武の作品に登場する猫たちは、自由な連想遊びのような豊かな余白をはらんで独特のポエジーを生み出す。
また、猫の優雅な無気力さと無関心な休息ぶりは、見る人を和ませる。うずらの卵やガムといった身近なものを素材とする太田黒衣美。板状のガムを素材として、レリーフさながらカッターで表面を彫刻し、アトリエにやってくる猫の上に置いて写真を撮影。猫の毛並みが平原のように見え、ガムで形作られた人々がリラックスしているようで、思わず笑みがこぼれる。
さらに猫の視点になって見れば、本棚は山に、絨毯は大海原にもなるだろう。建築家の中山英之と砂山太一は、人間と異なる空間感覚に着目し、各部屋が岩でできた住宅模型や、紙でできた石の家具「かみのいし」を展示。
美術館空間を変容させる。
飼い慣らされることなく野性を持ったまま人間と暮らし、言葉の意味からも自由に逃れて生きる猫。家の外ではどんな路地を冒険しているのだろうか。猫的なるものから考えると、現代美術にも親近感が湧いてくる。
出品作家:泉太郎、大田黒衣美、落合多武、岸本清子、佐々木健、五月女哲平、中山英之+砂山太一
<開催情報>
『ねこの細道』
会場:豊田市美術館
会期:2023年2月25日(土)~5月21日(日)
時間:10:00~17:30(入場は17:00まで)
休館日:月曜(5月1日は開館)
料金:一般1,000円、大高800円
公式サイト:
https://www.museum.toyota.aichi.jp/