東京では約四半世紀ぶりの大回顧展『生誕151年からの鹿子木孟郎―不倒の油画道』泉屋博古館東京で
2026年1月17日(土)より、六本木一丁目の泉屋博古館東京では、『生誕151年からの鹿子木孟郎―不倒の油画道』が開催される。近代の日本洋画に本格的な写実表現を移植した鹿子木孟郎(かのこぎ・たけしろう、1874-1941)の生誕150年を記念した展覧会だ。
旧岡山藩士の家に生まれ、洋画を学んだ鹿子木孟郎は、18歳の時に上京して小山正太郎の画塾・不同舎に学び、1900年に渡米。翌年にはイギリス経由でフランスに渡り、歴史画の名手として知られたアカデミスムの画家、ジャン=ポール・ローランスにフランス古典派絵画の写実表現を学ぶ。帰国後は京都に居を構え、関西美術院を創設するなど、京都洋画壇の中心的な作家として活躍した。
鹿子木孟郎《白衣の婦人》1901-03年頃(明治34-36)京都工芸繊維大学美術工芸資料館(AN.2298)
東京では約四半世紀ぶりの大回顧展となる同展では、今回の調査で発見された新出作品を含む初期から晩年までの絵画に、鹿子木の師ジャン=ポール・ローランスの作品を合わせた約130点を紹介し、彼が目指した表現について再評価する。
ジャン=ポール・ローランス《マルソー将軍の遺体の前のオーストリアの参謀たち》1877年 泉屋博古館東京
なかでも同展の意義となるのは、近代日本洋画における「写実」の意味を掘り下げていることだろう。近代日本における洋画の主流は、黒田清輝帰国後に大きな勢力となった外光派の表現だったが、鹿子木は「旧派」や「脂派」と言われながらも、印象派以前のリアリズムを根幹としたアカデミックな表現を深め、自らの思う「写実」に誠実に向き合った。
会場では10代の頃の風景スケッチや渡欧期の裸体人物写生など、彼の写実表現の形成と展開を紹介する。
鹿子木孟郎《厨女図模写 (原画ジョセフ・バイユ)》1901-03年頃(明治34-36) 泉屋博古館東京
また、住友家による鹿子木のパトロネージュの実態も興味深い。最初の留学期間の延長に際して住友家の支援を受けた鹿子木は、その見返りとして師ジャン=ポール・ローランスらの西洋絵画の実作や、アングルやコローの名画の模写などを住友家にもたらした。その後も彼は、住友家の後援により、2度のフランス留学を果たしている。同展では、鹿子木が仲介して住友家に届けたローランスの代表作より、鹿子木渡仏時代に描かれた作品なども紹介する。
<開催情報>
『生誕151年からの鹿子木孟郞―不倒の油画道』
会期:2026年1月17日(土)~4月5日(日)
[前期]1月17日(土)~2月23日(月・祝)
[後期]2月25日(水)~4月5日(日)
時間:11:00~18:00(※金曜日は~19:00)、入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜、2月24日(火) ※ただし2/23(月・祝)は開館
料金:一般1,500円、学生800円、18歳以下無料
公式サイト:
https://sen-oku.or.jp/tokyo/