【ライブレポート】majiko、1年半ぶりの有観客ワンマン開催。独断で次回のライブも発表
Photo by Viola Kam(V’z Twinkle)
7月2日、ネットシーン発のシンガーソングライターmajikoがワンマンライブ「愛わかる-medewakaru-」を恵比寿ガーデンホールにて開催した。コロナ禍の2020年12月に行った豊洲PIT公演以来、約1年半ぶりとなる今回は、そのタイトルのように愛を確かめ合うようなライブとなった。
大きな拍手に迎えられ、暗がりの中をバンドメンバーが登場。続いて、majikoがステージセンターにつくと、ひと際大きな拍手が会場を包んだ。オープニングSEが止まると同時に、情感たっぷりに歌う彼女の声が響き渡る。バックライトで表情が見えない中、圧倒的な迫力で「狂おしいほど僕には美しい」でライブが始まった。
「今日は楽しんで行きましょう!」と弾けるようなmajikoの声。ド派手な照明が煌めく中で披露された「エスカルゴ」で観客の気持ちを高めると、続く「白い蝉」では「みんな立ってもええねんで!」とmajikoの呼びかけに会場は総立ちに。
昨年8月に配信リリースされたこの曲はこれが初披露だ。
「1年半ぶりのライブということですごいドキドキしています。今日のライブは、みなさんがどんな1年半を過ごしてきたのか、そしてmajikoが1年半いったい何をしていたのかということをみんなで分かっていければと思っております」と彼女が述べるように、昨年から発表してきた楽曲をお披露目する場でもある。さっそく、2022年の第1弾シングル「劫火のエトワール」を披露。アニメーションのMUSIC VIDEOでも話題のこの曲は、スピーディかつドラマティックに展開するナンバー。彼女の美しいハイトーンボイスがメロディに乗って駆け上がっていく。
少しずつライブシーンも緩和されてきたが、声を出せないことに変わりはなく、彼女の歌に拍手や手拍子で応える観客。「ふいに出ちゃう嗚咽だったり、ふいに出ちゃうフフフっていう笑いとか。
少し緩くなってきたみたいなので、揺れちゃったりとかもいいんじゃないかな(笑)」と優しくmajikoに促された観客は、思い思いに体を動かし始める。徐々に会場全体がリラックスしていったようだった。
ジャズボーカリストさながらに息つく暇もなく歌う「勝手にしやがれ」や、「わかんない わかんない わかんないよ」と感情を爆発させる「一応私も泣いた」と披露。majikoの曲は、一曲の中で様々な感情をいろんな歌声で表現するところも魅力。そんな彼女の声に耳を集中させたい欲求が高まってくる中盤には、majikoの歌をじっくり聴けるパートが。「立ってもらったのになんですけど(笑)、座って聴いていただければと思います」と着席を促し、ミディアムロックナンバー「ひび割れた世界」や「エミリーと15の約束」を歌い上げていく。「世界一幸せなひとりぼっち」は透明感のあるクリスタルボイスで美声を響かせた。
「カメラの準備はできましたか?」と観客へ語り掛けるmajiko。
6月29日にリリースしたばかりの最新曲「交差点」のパフォーマンスは、この日撮影OKに。観客はスマホを片手に初めて生で観るアバンギャルドなポップナンバーを楽しんでいた。そして、「後半戦も楽しんで行きましょう!」という彼女の合図で始まった「ミミズ」で会場全体が揺れ始めると、続く「FANTASY」では真っ暗なステージでメンバーが付けるメガネがピカピカと光るのみで、まるでクラブのフロア。4つ打ちのビートに合わせて観客が踊る。majikoも踊る。
majikoたっての希望で、「ワンダーランド」は観客がスマホのライトをオンにして参加することに。サビの「何千何万億のヒカリ」にあわせて光が左右に揺れる中で歌い終えた彼女は、「ありがとうございます。無茶苦茶キレイでした。
夢が叶った!」と大興奮!「パラノイア」ではバンドメンバー紹介があり、流れるようなソロは見応え十分で、会場の熱気はさらにヒートアップ。そして、そのままピアノのイントロで「グリム」へとなだれ込むと、観客は大音量の手拍子で盛り上がった。
「“戻れるならいつに戻りたい?”っていう話をしてて、いろいろ考えたんだけど。私はね、今が一番楽しいから戻る必要はないって答えたの。たとえ疫病が世界を脅かそうが、自己嫌悪に嫌になる日々が続いたとしても、終わらない過去よりいつか終わる未来のほうがいい。そんな未来をみんなと一緒に楽しく迎えたい。またみんなに会えることを願ってこの曲を一番最後にしました」
本編最後に用意したのは、世界が終わるかもしれないことを歌った「23:59」。どんな未来が待っていようとも、再会することを約束したmajiko。
アンコールではそんな彼女からさっそくサプライズ。「いま決めました。スタッフには言ってないんですけど、12月にワンマンライブやります。今日はメチャクチャ楽しかったから絶対やる!怒られるかもしれないけど(笑)」と急きょ独断でワンマンライブを決定し、観客を喜ばせた。さらに、今秋にニューアルバムをリリースすることも発表した。
ライブを締めくくったのは、「声」。彼女が観客へ届ける最後の歌声に、手を振って応える観客。バンドメンバーを送り出しステージに残った彼女も、名残惜しそうに何度も手を振っていた。
「みんなの目を見て愛が分かったと思います。愛が伝わったと思います。私も伝わってきました。ホントにありがとう」。声を出せなくても、十分に通じ合えるライブができたことが嬉しそうだった。
Photo by Viola Kam(V’z Twinkle)
<公演情報>
『majiko ONEMAN LIVE「愛わかる-medewakaru-」』
2022年7月2日(日) 恵比寿ガーデンホール