くらし情報『小川絵梨子「『アンチポデス』は、他者と存在する時、物語がいかに大事かを気付かされる」』

2022年3月26日 12:00

小川絵梨子「『アンチポデス』は、他者と存在する時、物語がいかに大事かを気付かされる」

エレノアは、男性ばかりの会議の中で、ひとりだけ女性なんですね。で、アダムは実は黒人の男性であって。いわゆる白人男性優位主義のコミュニティ、つまりアメリカという社会の縮図の中に、女性や有色人種の人も参加させなきゃいけないだろうという会社の方針を“圧力”と感じる人間がいることを意味するのではないかなと。

小川絵梨子「『アンチポデス』は、他者と存在する時、物語がいかに大事かを気付かされる」


また、会議のリーダーであるサンディが野球帽をかぶっているのは、アメリカのヒエラルキーを表していると考えます。トランプ元大統領とか、よく帽子かぶってますよね(笑)。野球帽というのは、成功とか、パワーとか、権威といった意味合いが多分に込められていて、まあわかる人はわかる、わからない人はわからなくてもいい、というのがアニー・ベイカーさんのスタンスだとは思うのですが、いわゆる成功者とか、トップとか、そういう人たちの象徴なんだと思います。

――そうした作者の投げかけを、どう受け取り、どう表すかは託されていると。

そうですね。
イギリスで上演された時のプロダクションでは、サンディは帽子をかぶっていませんでした。おそらくイギリスの文化圏だと野球帽の意図が通じないからだったんじゃないかと。今回は、サンディ役を白井晃さんがやってくださって、帽子をかぶっていただくことにしています。

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