鍵はバランスとコントロール、担うは若き10番・李! 日本代表が2週連続でフランス代表に挑む!!
初戦の教訓を第2戦に生かせるか。日本代表がフランス代表に2週連続で挑む。
7月2日・豊田スタジアムでの『リポビタンDチャレンジカップ2022』では開始3分でフランスにあっさり先制トライを献上。一体何十点取られるか危ぶまれたが、すぐさま日本は落ち着きを取り戻した。6分、山沢拓也に代わり急遽先発となった10番李承信のPGで3点返すと、14分スピーディなアタックから最後はNo.8テビタ・タタフがダブルタックルを強引に突破。逆転トライを叩き込むと、李がCGを決めて10-7。その後2本ずつPGを獲得。フランスはFBメルヴィン・ジャミネが2本とも決めたのに対して、李は1本失敗。
13-13で前半を折り返した。
35度近い猛暑の後押しを受けて、後半日本が優位に立つと思われたが、フランスが地力を発揮。45分、モールで前進してからSOマチュー・ジャリベールがディフェンス網を破り、WTBマティス・ルベルへつなぎトライを奪うと、日本とフランスは1本ずつPGを成功させて3点ずつ加点。その後58分から10分間でフランスは3本ものトライを畳み掛けて勝負あり。ラストプレーでWTBシオサイア・フィフィタがダブルタックルの間を走り抜けて日本が1本返すも23-42でノーサイド。前半フランスを少し慌てさせたが、接戦に持ち込むことはできなかった。
それでも試合後、ジェイミー・ジョセフHCは穏やかな表情で試合を振り返った。
「選手たちを誇りに思う。
今週自分たちはディテールを落とし込んでいる中選手がいなくなってしまい、新たな選手たちに落とし込みをしなければいけなかった。新しく入ってきた選手たちがしっかり準備したことを遂行できたのは、ファーストステップとしてはすごくよかったと思う」
選手たちも確かな手応えと突き付けられた実力差について口にした。
HO坂手淳史主将「率直に悔しいし、まだまだ修正できる点がたくさんあると思う。ミスはあったが、その中でも自分たちのやろうとしているラグビーはできたと思うし、また自分たちの強みを出せるようにがんばりたい。ボールを継続できればスペースもたくさんできるし、スクラムは取れるところもあったので、そこを突き詰めてやっていきたい」
PR稲垣啓太「想像していた通りの部分も多かったし、準備してきたことを前半は出せたが、後半はコミュニケーション不足のミスによってできなくなった。こういうレベルになると、ミスからトライまで奪われてしまう、悔しい。
スクラムに関しては結構手応えがあった。僕たちが組もうとしたスクラムは組めたし、スクラムは今日またひとつレベルアップを図れたと思う。
何が成長したか、一人ひとりのやることが明確になっている。新しく入って来た選手もスクラムの理論を徹底的に頭に詰めてやっている。スクラムの理解度は高まっている。
(来週に向けて)コミュニケーションミスと反則を減らすこと、そこだけ。あんまり多く的を広げず、自分たちの時間にはスコアまで持っていけている。細かいミスと反則、そこだけ」
李「急遽スタメンになったが、とにかくチームが勝つために自分の役割をしっかり果たして、チームのアタックを特にリードしていく気持ちで挑んだ。今日のプランはアタックファースト。キックを蹴るより、しっかり自分たちでボールを動かしてポゼッションで相手を上回るプランだったので、そこで早いコール、自分が9番とFWにしっかりコミュニケーションを取るということを意識した。
緊張しないタイプだが、試合前は地に足がつかなかった。キックオフでボール触った瞬間に吹っ切れた。
いい部分も悪い部分もあった。まだまだ10番としてドライブ、ゲームコントロールできていなかったのが課題」
フィフィタ「思った通り強かった。前半は勝てる自信があったが、僕らのミスとペナルティが多かったので、後半最初の20分で2~3トライ取られてしまった。いい部分と悪い部分あったが、来週必ず勝ちたい。
日本代表の11番は誰にも渡したくないので、日々の練習からハードワークし、いいパフォーマンスできるよう、日々の練習がんばりたい」
7月7日、フランスとの第2戦のメンバー発表会見が行われた。ジョセフHCは次のメンバーに勝利を託した。
【日本代表】
1稲垣啓太(埼玉WK)、2坂手淳史(埼玉WK)、3ヴァル アサエリ愛(埼玉WK)、4ワーナー・ディアンズ(BL東京)、5サナイラ・ワクァ(花園L)、6リーチ マイケル(BL東京)、7ベン・ガンター(埼玉WK)、8ジャック・コーネルセン(埼玉WK)、9齋藤直人(東京SG)、10李承信(神戸S)、11シオサイア・フィフィタ(花園L)、12中野将伍(東京SG)、13ディラン・ライリー(埼玉WK)、14ゲラード・ファンデンヒーファー(S東京ベイ)、15山中亮平(神戸S)、16堀江翔太(埼玉WK)、17森川由起乙(東京SG)、18木津悠輔(トヨタV)、19辻雄康(東京SG)、20テビタ・タタフ(東京SG)、21茂野海人(トヨタV)、22田村優(横浜E)、23シェーン・ゲイツ(SA浦安)
ジョセフHCは先週の反省を踏まえ、今週のポイントを語った。
「自分たちのゲームができた時はしっかりプレッシャーを掛けることができた。後半は自分たちのプレーに執着しすぎて、ボールを回しすぎてコントロールを失った部分がある。そこのバランス、自分たちのすべきゲームプランは変えず、バランスを考えていかないといけない。しっかりスマートにモーメンタムを持ってラグビーをしていくことが必要。今週の準備では大きな変化は加えてないが、新しい選手たちがフレッシュな気持ちにさせてくれている」
ハーフ団は若い齋藤と李が先発、キャリアがある茂野と追加招集の田村がベンチに回った理由を明かした。
「李はすごくいい試合をした。彼は若い選手、今後も育成が重要になってくる。
彼はまだ経験が少ない。たくさん経験してもらっていい選手になっていってほしい。直人も帰って来たので彼のプレーをもっと見てみたいと思い、チャンスを与えた。若い選手で前半チームをしっかり引っ張っていって、後半に優のような経験があるシニアが入ることによってチームに刺激を与えてほしい」
指揮官はHO堀江の再合流を歓迎した。
「将太は一貫性を持ったプレーをしてくれるし、リーダーシップも発揮してくれている。しっかり体調を戻し、チームに戻って来てくれた。試合に向けてモチベーションも高く、今回の試合に向かって万全の準備してくれている」
20歳のディアンズと2週間前に代表初キャップをマークしたワクァのLOコンビについても言及した。
「ワーナーは若く、ワクァもチームに合流して3-4週間。
若く経験の浅いふたりにビッグテストマッチの経験を与えたいと思った。またヴィンピー(・ファンデルヴァルト)がケガしたこともあり、このふたりが先発することになった」
前戦ではLOを務めたコーネルセンがNo.8の先発、タタフがベンチスタートとなった理由はこうである。
「タタフは素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。今回は後半に入って、インパクトを与える役割を見たいと思い、ベンチスタートにした。またラインアウトで高さが必要だと思い、このようなラインナップになった」
HCはノンキャップのLO辻にも期待を寄せた。
「辻はファーストキャップ、将来を考え、育成が必要。どんなプレーを見せくれるか、ワクワクしている。『リーグワン』でもいいパフォーマンスを見せてくれている。彼には期待している」
ジョセフHCはキーワードに「バランス」と「コントロール」を挙げた。
「今回の代表ツアーでは若い選手を使っていって、選手層を厚くしようとやってきた。キープレーヤーがケガをし、新しい選手を見るチャンスだった。フランスは世界でもベストなチーム。コントロールとバランスが必要。パワフルなランナーがたくさんいる。いかに止めるかが勝利の鍵」
鍵となる「バランス」と「コントロール」を担うのが若い10番だ。
「先週バランスを取ることができなかった。10番の李は若く今後チームを引っ張っていく選手としてがんばった。今週勝つためにゲームの中でバランスとコントロールしていくことが大事だと思っている。
先週は前半と後半にいきなり2本取られていいスタートを切れなかった。いいスタートを切るためにバランスとコントロールが必要。若い10番も先週大きな学びを得た。今週は経験を生かしてチームをリードしていってほしい」
対するフランス代表の試合登録メンバーは以下の通り。
1ジャン・バティスト・グロ、2ペアト・マウバカ、3デンバ・バンバ、4ティボー・フラメント、5トマ・ジョルムス、6ディラン・クレタン、7シャルル・オリボン、8ヨアン・タンガ、9マキシム・ルク、10マチュー・ジャリベール、11マティス・ルベル、12ヨラム・モエファナ、13ビリミ・バカタワ、14ダミアン・ペノー、15マックス・スプリング、16ピエール・ブルガリ、17ダニー・プリソ、18シピリ・ファラテア、19トマ・ラヴォー、20イブライム・ディアロ、21セコウ・マカルー、22バティスト・クイユー、23アントワーヌ・ハストワ
果たして、日本代表が第2ラウンドでアップセットをやってのけるのか、フランス代表が返り討ちするのか。『リポビタンDチャレンジカップ2022』日本代表×フランス代表は7月9日(土)・国立競技場にてキックオフ。チケット発売中。試合の模様は日本テレビ系にて生中継。
取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
リポビタンDチャレンジカップ2022のチケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2208341