【サンダンス映画祭レポート】“今”をとらえた大人の恋愛映画
『Love, Brooklyn』は、タイトル通り、ニューヨークのブルックリンを舞台にした恋愛映画。いわゆる“ジェントリフィケーション”(比較的低所得者が多かったエリアが再開発などで活性化しておしゃれになり、街の様相が変わっていくこと)で変化する街と、そこに住む人たちの個人的な葛藤を重ねつつ、過去と未来を見つめる物語だ。
ロジャー(『ムーンライト』のアンドレ・ホランド)は、死別でシングルマザーとなったニコール(『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のディワンダ・ワイズ)とつきあっている。真剣な交際なのかどうかは自分たちにもわからないものの、ニコールの娘にも気に入ってもらえたようで、一応は順調。だが、その一方で、彼はまた昔の恋人ケイシー(ニコール・ベハーリー)ともふたりきりで会ったりしている。最も優柔不断なのはロジャーだが、女性ふたりも、それぞれに過去を振り切れないでいるのだ。
監督は、レイチェル・アビゲイル・ホルダー。テレビドラマの監督経験はあるが、長編映画を手がけるのは初めて。
この映画の実現には6年がかかり、不可能だと思ったことも何度となくあったという。スティーブン・ソダーバーグが製作総指揮にたずさわってくれたことは大きな助けになったが、まだお金は足りず、キャストのひとりの家をロケ場所に使ったりもした。
それでも頑張り続けられたのはコミュニティの力だと、プロデューサーも兼任するホランド。キャストには、フロリダ州立大学時代の友人、その後に学んだニューヨーク大学時代の友人、かつての共演者、同郷の友人など、ホランドが以前から仲の良い人たちが揃っている。そんな人たちと力を合わせ、信じるものを形にしたのが、この作品だ。
「僕たちは、恋愛映画を作りたかったんです。普通に生活する黒人についての映画を。バイオレンスも、トラウマも、カーチェイスも出てこない黒人の映画を、みんなに見てもらいたかった。
ある意味、大胆かもしれませんね(笑)。でも、こんな映画がもっと出てくることを願っています」(ホランド)。
USドラマチック・コンペティション部門での上映。映画祭は2月2日まで。
文=猿渡由紀
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