COPES、ツアーファイナルで夜の本気ダンスと共演!Happinessな空間を創り上げたソールドアウトの渋谷公演をレポート
Text:吉羽さおり
7月2日に1stミニ・アルバム『Happiness』をリリースした東京発の男女ツインボーカルメロディックポップバンド・COPES。この1stミニ・アルバムを携えての全国ツアー『1st Mini Album Happiness Release Tour』のファイナルが、12月13日東京・渋谷Spotify O-Crestで行われた。毎回ゲストを迎えてきたが、ファイナルにはバンド結成前からメンバーが大好きだという夜の本気ダンス。
「踊れる準備はできていますか?」と米田貴紀(vo/g)がいつもの口上で盛り上げ、「WHERE?」で幕を開けた夜の本気ダンスのステージは、満員の観客を踊らせ、さらにシンガロングやジャンプを巻き起こしていった。かわいい後輩の大事なツアー・ファイナル、その晴れの舞台を祝してのっけからトップスピードでキレのいいバンドアンサンブルやグルーヴを聴かせて、フロアのボルテージを上げていくが、MCでは一転。「ひとつ言わせてもらっていいですか。はじめましてのバンドをファイナルに呼ぶな!ここは仲のいいバンド呼ぶところだろ」(鈴鹿秋斗/ds)とツッコミ。もちろんこれは先輩からの愛ある言葉で、会場に笑いを起こしながら、「全員、仲良くなって帰りましょう」(米田)とここからさらにノンストップで踊らせていくステージはさすがのひと言だ。
「これからもファイナルだけ呼んでもらおう」「誰かが結婚するときも呼んで、挨拶するから。ファイナル呼ぶってそういうことだから!」(鈴鹿)と笑いとプレッシャーをかけていきながら、後半も「Crazy Dancer」や「Feel so good」でエッジの鋭いギターとビートとでフロアを揺さぶる。会場内の多幸感をぐんぐんと上げて、COPESへとバトンを渡す最高のステージだ。
リスペクトする先輩からのエールを受けて、元気よくステージへと登場したカメイナナコ(g/vo)、しいなゆうき(b/vo)、ちょた(ds)によるCOPES。「Happiness Tour ファイナル、楽しむ準備はできてますか」しいなの声でスタートしたライブは、1stミニ・アルバム『Happiness』の曲を中心に勢いよく展開していく。
この長いツアーを通して磨き上げてきたバンドアンサンブルで、曲のパワーも明度も増していて、“Happiness”というにふさわしいライブだ。1曲目「free」から、バンドの武器であるナナコの透明感あるハイトーンとしいなのパワフルな歌声を響かせていくと、先ほどまでは楽しく踊っていた観客が、勢いよく拳を突き上げ、コールや手拍子のボリュームを上げていく。「帰ってきたぞ、渋谷」しいなの煽りで、1曲目からコール&レスポンスを巻き起こし、続くキャッチーな「E・I・E・I・O」でも観客のシンガロングを大きくする。
ちょたによるドライブ感満点のドラミングが、会場の陽性ムードを膨らませていく感覚で、かと思うと「thriver」ではネガをポジへとひっくり返していく迫力のあるヘヴィなリフや2ビートで観客をヘッドバングさせる。「Happinessな空間を一緒に作っていきましょう」(しいな)という「ウォーアイニー」では、観客が指ハートや振りつけをして一体感を増していったりと、COPESのライブのスタイルがしっかりとでき上がっているようだ。
改めて挨拶をした3人は、「渋谷、最高。ソールドアウト、ありがとう!夜ダン、やばかったよね」(しいな)と興奮を語り、またずっと夜の本気ダンスが好きで追いかけてきた証拠として、カメイは夜ダンのラバーバンド(グッズ)を見せたりと、いちファンとしてもこの日のステージを楽しんだ思いを語った。そして「夜ダン先輩と、ダンス対決だ!むちゃくちゃやろうぜ」(しいな)と言って、「song」「summer」を連投する。ファストでパンキッシュなビートからダンスビートへと縦横無尽にフロアをかき回していく「summer」のノリは、抜群だ。さらにスカビートによる「remember」で観客にステップを踏ませ、ブレイクダウンではフロアにサークルが出現。観客が笑顔で、楽しく駆け回っている姿が印象的だ。
またこの中盤では、ナナコがゆったりとギターアルペジオを奏でて歌い出す「with」など、ツインボーカルでエモーショナルに聴かせる曲も冴える。「will」や「テレポーション」といった、これぞライブのキラーチューンという爆発的にフロアの熱を生み出していく曲もバンドの肝だが、フレンドリーで心強いメッセージが冴えるグッドメロディで観客の気持ちをひとつにしていく曲も、バンドの存在感を大きくしている。
MCでも語っていたことだが、COPESが結成したのはコロナ禍真っ只中の2021年。ライブがなかなかできない、できたとしてもしばらくの間は観客一人ひとりが決められた枠の中に立って、マスクで顔も見えないなかでのライブがスタートした。初めて全国ツアーを回ったのは、2024年にアルバム『FORCE』をリリースしてからだ。そして2025年には『JAPAN JAM』や『RUSH BALL』など大型フェスへの出演も果たして、快進撃と言っていい状況となった。今回のツアーでは近しい仲間はもちろん、夜の本気ダンスなどリスペクトするバンドを呼べるまでになった。
「来年で結成5年。
こんな日が来るとは想像してなかったです。私も元々はそちら(フロア)にいて、好きなバンドの追いかけていて、ライブのために学校に行っていた。COPESとして今度は私が、誰かにとってのそういう存在になれたらうれしい」とナナコはいう。またしいなが「今は、未来しか見てないです。みんなの笑顔をステージから見るのがいちばん好き、もっとハッピーにしたい」と続けて、その未来に捧げる証明の歌だと紹介して「proof」へとなだれ込んでいく。ステージのライトが煌々と3人の姿を照らし、バンドと観客の顔とがしっかり見えるなかで約束のように歌われた「proof」に、会場は大きな拍手で包まれた。
「僕たちは君の青春になりたい。君たちの青春の歌だ」(しいな)と頼もしい叫びでスタートした「youth」からは、クライマックスへと駆け上がっていく。
続くスカチューン「winner」では、観客がみんな指で”W“のポーズをしながら笑顔で歌い、踊る。このハンドサインはライブをはじめた頃、観客発信で生まれたものだったと以前ぴあでのインタビューで語ってくれたが、その輪はどんどん広がっているようだ。この”W“のポーズで最後に一斉にジャンプをすると、「forth」でフロアを熱し、ラストを飾ったのはミニ・アルバム『Happiness』のオープニングで《最高潮だ船をだせ》とエネルギッシュに風を起こしていくナンバー「courage」。ナナコの「渋谷、全員跳べ!」を合図に、大きなジャンプで会場を揺らしていった。
途中、エモさ満点のMCもあったが、はじめから終わりまで3人で全速力で走り、”Happiness”の旋風を巻き起こしていくツアーファイナルとなった。アンコールでさらに3曲を披露し、また結成5周年イヤーに突入する2026年2月27日(金)に東京・新代田FEVERでバックドロップシンデレラを迎えてのツーマン『COPES presents PUZZLE piece 4』を開催することを発表した。自身の企画に、先輩であり、強烈なライブ猛者を招いたことに、今のCOPESの心意気が見える。ハッピーな空気をまとってはいるが、目下、自分たちから湧き出るエネルギーにつんのめりそうな勢いで進んでいるCOPESのライブを、観てほしい。
<公演概要>
『1st Mini Album Happiness Release Tour』
12月13日東京・渋谷Spotify O-Crest