【ライブレポート】全公演ソールドアウト! ケプラ『アインシュタインワンマンツアー』最終公演
Photo:ナカヤマリョウヘイ
平均年齢19歳の4人組ロックバンド、ケプラが初のワンマンツアー『アインシュタインワンマンツアー』の最終公演を渋谷CLUB QUATTROにて開催した。本ツアーは全公演がソールドアウトし、この日もどこまでも歓声が鳴り止むことがないほどの熱狂が繰り広げられたが、「新しいスタートの一歩だと思ってる」という柳澤律希(Vo/Gt)の言葉通り、未来を感じさせる素晴らしい夜となった。
まずはライブが始まろうとする段階から楽しんでもらいたい、という気持ちの表れだろう、メンバー自身による寸劇調のアナウンスが流れ、大歓声が起こる中、ステージに柳澤、けんた(Gt)、かず(Ba)、ハヤト(Ds)が登場。昨年10月にも同じく渋谷CLUB QUATTROでのワンマンを行っているが、そのとき以上の熱気だ。そんな後押しを感じながら、まずは柳澤がゆったりと声歌を響かせ、そこから一気に駆け出していく生活に寄り添うケプラらしい「16」を奏でていく。けんたは飛び跳ね、かずも前のめりになってプレイするが、とにかく驚いたのがそのどっしりとした立ち姿。緊張している素振りなど一切ない。リリースやツアーを積み重ねる中でロックバンドらしい強度を高めてきたに違いない。
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「盛り上がっていこう!」という柳澤の声がかき消されるぐらいの歓声の中、ゴキゲンにテンションをアゲてくれる「グランピー」でさらに勢いをつけ、テンポよく「百獣の唄」へ。このスムーズな流れも素晴らしかったが、その後に新曲をサラッと披露できるのもバンドが充実しているからこそ。笑顔でギターをかき鳴らすけんた、リズムにしなやかに紡ぐかず、的確にサウンドを支えるハヤト、真ん中で堂々と歌声を轟かせる柳澤、各人各様のキャラクターな彼らではあるが、それらがステージではブレることなく一体となり、大きな塊となっているのだ。序盤らしからぬ熱気で会場が包まれるのも当然だろう。
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柳澤律希(Vo/Gt)
この日は豪雨の影響で交通機関に乱れもあり、残念ながら来場が叶わぬ人たちもいた為、「想いを全部受け止めて、最高のライブをします!」と柳澤が力強く宣言し、観客と共に「1、2、3、4!」と盛大なカウントを決めて「くしゃみ」で駆け出していったのだが、この勢いが凄まじかった。やはり、声というモノがもたらす力は大きい。
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けんた(Gt)
そこから今だからこその味わいも加わった、ケプラはじまりの曲「デイズ」を軽快に鳴らし、注目を集めるキッカケとなった「これからのこと」を続けて披露しつつ、グッと観客を惹きつけたのが「何年先も憶えててほしい」だった。まずは柳澤が弾き語り調で歌い始め、そこからバンドサウンドへとドラマティックに移行していったのだが、メンバーは少しクールに、だが情熱はたっぷりと込めて白熱したプレイを見せる。
ケプラと言えば軽快なイメージが強いかもしれないが、これは絶妙な余韻で包み込む「シャラリら」の後に披露したフォーキーなスタイルから各楽器が寄り寄っていった新曲でもそうだったように、こういう一面もあるんだと成長した姿を観客の目と心に焼き付けるシーンであった。
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折り返し時点となるところで改めて満員の観客へ謝辞を述べつつ、メンバーから飛び出すのはとにかく「楽しい」という言葉ばかり。いろんな表現もあるだろうが、気持ちを伝えるにはシンプルなことがいちばんいいはず。
後半戦はまさかの新曲を2連投で幕開け。キャッチーなロックンロールナンバーでありながらも中盤にスパイスを加えていたり、はたまた終盤に劇的なスピードアップをしていたり、一筋縄ではいかない2曲。そんなバリエーションを持つ曲にも関わらず、熱気が落ち着くどころかさらに上昇する様にも本当に驚かされた。知っているとか知らないは関係なく、目の前で鳴らされる音楽をそのまま感じ取っている。ケプラとファンとの信頼関係がしっかりと築かれていることが何ともうれしかった。
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かず(Ba)
クセになるグッドメロディーがたまらない「YOUTH」はライブならではの躍動感と激しいライティングも相まって、ガツンとくる仕上がり。会場の空気がそうさせたのか、<僕らが出会ったあの青の中に>を<僕らが出会ったこのライヴハウスの中に>と変えて柳澤が絶叫し、観客も大合唱でその気持ちに応えていく。抑揚をつけながら鳴らした「おねだり」も秀逸だった。
ここでツアーが初めて全公演ソールドアウトした喜びを口にしつつ、満員のフロアを噛みしめるように見渡した柳澤が「結成したときからずっとずっと僕らの夢は変わってないし、目標もまだまだ届かない。でも、ちょっとずつ進んでる。きっと明日は今日よりも、明後日は明日よりも大きくなってる。そう信じて音楽をかき鳴らしてます。バカみたいな夢のその先で、今日来てくれてるみんな、今日来れなかった人、いつも応援してくれるみんな、そんな人たちと一緒に笑い合えたらいいって思ってます」と想いを口にする。
彼らはいつだって目の前にある大切なモノを精一杯抱きしめながら、自らに制限をかけず、大きな夢を目指す。そんな言葉の後にセレクトされた「剣」はまた格別だった。
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ハヤト(Ds)
終盤戦はノンストップで行きますという宣言通りの勢いを見せる。「うわごと」に「ルーシー」と矢継ぎ早に繰り出し、観客のクラップも歓声もどんどん大きくなっていき、会場全体の一体感とノリが凄まじい状況。けんたがちょっと誘えば大合唱が起こるし、うれしさを隠せないハヤトはスティックをフロアへ向けて満面の笑みを浮かべている。
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その盛り上がりをもっと加速するべく、本編ラストとして「春が過ぎたら」を鳴らしていくと、イントロからとんでもないコールが起こり、サビでは観客の歌声で埋め尽くされるが、もっとイケるだろうと「そんなもんかー!」と叫ぶ柳澤。だったら、とさらに大声を上げる観客、それを受けてよりエネルギッシュなプレイを見せるメンバーという、ライブならではの最高のやり取りが広がっていく、最高の光景だった。
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アンコールでは、彼らの結成3周年記念日にあたる9月1日(金) に2ndミニアルバム『This is 未来』をリリースするといううれしい発表があり、その中から新曲を届けていく。
締めくくりとしてお馴染みの曲を選ぶこともできただろう。その方がわかりやすかったりもする。だが、甘んじることなく、バンドとしての新しい一歩を提示。その姿がとてつもなく頼もしかった。
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<公演情報>
ケプラ『アインシュタインワンマンツアー』最終公演
2023年6月2日(金) 渋谷CLUB QUATTRO