【ライブレポート】Novel Core 全国ツアー『“BACK TO AGF” TOUR 2025』完遂！ OUTERと完成させた圧巻の景色、ファイナル公演CLUB CITTA'をレポート

2025年8月8日ぴあ

Photo：Satoshi Hata

Novel Coreが全国16カ所を巡ったツアー『“BACK TO AGF” TOUR 2025』が7月27日神奈川・CLUB CITTA’でファイナルを迎えた。このツアーはDJセットとバンドセットで構成され、ファイナル公演はハウスバンド・THE WILL RABBITSによるバンドセット。Novel Core本人による影アナで開演前から煽りに煽り、「性別とかあんま関係ねえけど、慣れてる男どもガンガン来いや！」とさらなる煽りに図太い男どもの声が呼応する。SEに合わせてクラップが巻き起こり、沢山のオーディエンスが本人登場前から熱量を高めていく。

「A GREAT FOOL」のイントロが流れ、白い大幕の向こう側で演奏されるシルエットが映し出されると会場が揺れるほどの大歓声が響き渡る。突き上げる拳がステージとオーディエンスを繋ぎ、THE WILL RABBITSのグルーヴが体中を駆け巡り、Novel Coreの歌声がものすごいスピードでそのすべてを包み込んでいく。「もっと来いよ！」の言葉に応えるようにオーディエンスも一体となってステージに向かっていく。それは圧倒されるほどに圧巻の光景だった。

「Welcome To My Brain」「RULERS」と畳みかけ、オーディエンスはさらに密集度を高めていき準備は万端。「SHIKATO!!!」が始まるとクラップとコール＆レスポンス、眼差し鋭く飛び跳ねていき、「SKILL TEST」では高速ラップでオーディエンスの体を揺らし熱狂させていく。「俺達 WAGAMAMA MONDAIJI！！」と何度も叫びながらオーディエンスとの距離を縮めていく「WAGAMAMA MONDAIJI」、「BABEL」でも休むことなくその衝動を思いのままにぶつけていく。

「独創ファンタジスタ」の終わりでは、「楽しすぎてうれし涙が出ちゃうよ」とオーディエンスに笑顔を振り撒いていき、「HAPPY TEARS」はオーディエンスにマイクを向けての大合唱。「誰も変われないような過去に夢に見ていたような色を愛に笑えた今日に花束をこの歌を」とゆるやかに平和な空間を作り上げ、心を穏やかに彩ってくれた。「しんどい？無理しないで。でも、激しいライブも好きなんでしょ？しんどいのも楽しんでください」と場を和ませながらオーディエンスをその向こう側へ誘っていく。

「ヒップホップもロックもアイドルも、いろんなジャンルを好きな人たちがここに集まって、今だけはNovel Coreが大好きだという共通項で固く結ばれたOUTER（Novel Coreのファンの呼称）のみなさんがクラブチッタを埋め尽くした光景を見ると、昼公演で枯れた声がなぜか出てくる！」と、この日の昼公演で声が擦れてしまったことを明かしたのだが、「そうなの？完璧じゃん」と言いたくなるぐらい気持ちよく歌い上げたここまでが、OUTERと結ばれた光景によって引き上げられたパワーなのであればなんて美しい光景なのだろう。

「ここから3曲は新曲演ります。わからなくてもいいから拳突き上げろ！」と煽り、披露された「C.O.R.E」「EVER EVER GREEN」「HANERO!!!」。すぐさまリズムに乗り、拳を突き上げレスポンスしていく。初めて聴くメロディでも歌詞でも、エモーショナルに歌い上げるその姿に体は自然と引き込まれていき、あっという間に会場がひとつになっていく。とてつもない熱量がずっと続いていくことが気持ちよくて誇らしかった。

【ライブレポート】Novel Core 全国ツアー『“BACK TO AGF” TOUR 2025』完遂！ OUTERと完成させた圧巻の景色、ファイナル公演CLUB CITTA'をレポート

THE WILL RABBITSによるインストでうねりをあげるグルーヴに拍手と歓声がこだましていく。Novel Coreがステージに戻ると「No Way Back」でさらにボルテージをあげ、「真ん中準備できてるんだろうな！」と予告させながら「カミサマキドリ」「UNDEFEATED」でステージの左へ右へと駆け回っていく。会場の真ん中ではサークルが出来上がり、オーディエンスも暴れ回り、その姿を楽しそうに見守っている。

「去年まではこれじゃなかっただろ？今回のツアー、たったの17公演で札幌からこの川崎の2公演目までみんなで作り上げて、慣れてる子たちが先導しながら遠慮気味だった子がだんだん前に来るようになって、少しずつ雰囲気を変えていって……間違いなくいまここが一番ヤバいと思う。ヤバい楽しすぎる」――このツアーでオーディエンスと共に創り上げたこのスタイルについてうれしそうに語り、初めてNovel Coreのライブに来たという最前列のお父さんに「俺が目をひん剥いて歌ってるとお父さんも一緒に目をひん剥いてくれて、最高ですよ」と老若男女のオーディエンスを讃える。ライブハウスカルチャーの激しさとやさしさと楽しさ。このツアーでそんなライブハウスカルチャーをOUTERたちにも体感してほしかったのだろう。あっという間に広がった光景の美しさを、このMCでゆっくりと時間をかけて伝えていった。

【ライブレポート】Novel Core 全国ツアー『“BACK TO AGF” TOUR 2025』完遂！ OUTERと完成させた圧巻の景色、ファイナル公演CLUB CITTA'をレポート

スマホの灯りで会場中に光の花が咲き、「いつまでもあなたの光であり続けたい。心を込めて歌います」と語り放たれたのは「Right Here」。「力になれてりゃ良い光になれてりゃ良いから」とステージとオーディエンスが光と共に共鳴し合い、「PERIOD.」へと続く。

マイクを握り始めて10年。高円寺からの叩き上げは深夜4時半にフラワーカンパニーズの「深夜高速」を聴いて涙を流した。そこからこれだけの美しい光景が広がるステージに辿り着いた。初めて聴いた2021年よりもそのリリックにどっぷり浸かりながら聴き入ってしまった。

「大事な曲だ。全員で歌ってくれ。SKY-HI見てるか。BMSG、たったふたりから始まった事務所。

たくさんの仲間が増えた。まだまだ増やすぞ」、そう語り歌い始めたのは「SOBER ROCK」。ステージを降り、オーディエンスをかき分けFOHまで到達し、全員で大合唱する光景はほんとにエモくて、とてつもなく強い一体感を完成させて会場を包み込んでいった。「次はOUTERのために作った曲です」と放たれたのは「Green Light」。オーディエンスにやさしく声をかけながら歌うNovel Coreの姿はOUTERへと継承され、OUTER同士が助け合う光景をたくさん目にした。激しさの中のやさしさ。この一体感こそが彼が目指している場所だろう。

【ライブレポート】Novel Core 全国ツアー『“BACK TO AGF” TOUR 2025』完遂！ OUTERと完成させた圧巻の景色、ファイナル公演CLUB CITTA'をレポート

残り3曲であることを告げられるとこの瞬間を逃さぬようにとリリックとサウンドを全身で浴びるようにフロアがさらに大きく揺れ、何度もありがとうを繰り返しながら、「THANKS, ALL MY TEARS」「HERO」、そしてクライマックスへ向かい「プライド」へ。

「全部僕の私の大切な生きた証だと」――このリリックにすべての想いが凝縮されているようで、全員で拳を突き上げ、叫んだこの場所こそが大切な居場所だ。最後は新曲「DiRTY NASTY」を大音量で丸々流しながらOUTERと共有し、『“BACK TO AGF” TOUR 2025』の幕は閉じた。バンドスタイルでのステージはNovel Coreが持つ楽曲の真価が際立つライブであったと思う。かなり激しいけど、この場所にまた還ってきたいと強く願った夜だった。