白人と偽って生きた黒人女性の物語『Passing』。レベッカ・ホールの監督デビュー作
Sundance.org
過去に女優としてサンダンスを訪れているレベッカ・ホールが、監督として、この映画祭に戻ってきた。作品は『Passing』。
1929年に書かれた小説を映画化するもので、テッサ・トンプソンとルース・ネッガが主演を務める。舞台は20年代のニューヨーク。肌の色が白く、白人として“パス”するアイリーン(トンプソン)は、ある日、黒人お断りのホテルのカフェでかつての同級生クレア(ネッガ)に久々に出くわす。やはり“パス”できるクレアは、アイリーンのように時々ではなく、完全に白人だと偽って生活しており、人種差別者の白人の夫(アレキサンダー・スカルスガルド)までいるのだった。クレアがやっていることにアイリーンは抵抗を感じるが、この再会をきっかけに、クレアはアイリーンの人生に入り込んでくる。アイリーンの夫で医師のブライアン(アンドレ・ホランド)もクレアを受け入れ、夫妻は頻繁にクレアと一緒にクラブやパーティに出かけるようになるのだった。
この話を白人が語るのは、今の感覚ではとりわけ奇妙に感じるが、実は、ホールは今作にぴったりの監督なのである。ホールの母方の祖父は“パス”する黒人で、白人女性と結婚し、子供たちも完全に白人として育てたのだ。