Sano ibuki「あなたに会えたこの瞬間が僕にとっては革命」 東阪ワンマン『GOOD LUCK』オフィシャルレポート
(Photo:増田彩来)
Sano ibukiの東阪ワンマンライブツアー『Sano ibuki ONE-MAN LIVE "GOOD LUCK"』の東京公演が11月25日、東京・渋谷のduo MUSIC EXCHANGEにて開催された。
10月18日にリリースされた3rdミニアルバム『革命を覚えた日』のリリースツアーとして、11月19日の大阪・Music club JANUS、11月25日の東京・duo MUSIC EXCHANGEを舞台に開催された今回のツアー『GOOD LUCK』。Sano自身にとって、東京では今年1月以来約10カ月ぶり、大阪は2020年2月以来実に3年9カ月ぶりのワンマンライブ開催となった。
Sanoは冒頭から「会いたかったぜ、お前ら!」と快活に呼びかけながら、最新作からMBSドラマ特区『サブスク不倫』の主題歌「罰点万歳」をアグレッシブに歌い上げ、一気にフロアを歓喜で満たしてみせる。続けて「ジャイアントキリング」「少年讃歌」「finlay」と楽曲を畳み掛けると、場内に熱いクラップの輪が広がっていく。
同ツアーではエノ マサフミ(Drums)、武田祐介(Bass/from RADWIMPS)、qurosawa(Guitar)、山本健太(Keyboard)という辣腕メンバーをサポートに迎えてステージに臨んだSano。5人一丸の熱演がバンドの一体感を見せていくにつれ、Sanoのメロディの色彩感がよりいっそうくっきりと浮かび上がってくるし、それによって「永遠の中での今この一瞬」にフォーカスする切実な世界観がさらにリアルに胸に迫ってくる。
ライブ中盤では「プラチナ」「マリアロード」、さらにMCを挟んで『革命を覚えた日』収録のMBSドラマ『ワンルームエンジェル』ED主題歌「久遠」からピアノインスト曲「Letter」を経て「終夜」へ……とスロウなバラード曲を披露。
それによって、ライブの熱量と訴求力がクールダウンすることなく、むしろ刻一刻と高まっていったのも、Sanoの表現者としての求心力を象徴する名場面だった。
『革命を覚えた日』の制作を振り返って、「俺には何にもないなあって気づかせてもらえて。そういう瞬間に革命っていうものは起こるのかな、って思いながら制作をしていました」と語ったSanoが、「あなたに会えたこの瞬間が、僕にとっては革命なんだなって……そんなことを思っていたら、新しい曲ができました」と披露した楽曲のタイトルは「革命を覚えた日」。ミニアルバムと同じタイトルながら同作品には未収録の新曲だ。今回のツアーメンバーで作り上げたというダイナミックなバンドアレンジ、衝動に身を委ねるような歌とアンサンブルの疾走感に応えて、フロアに拳が高々と突き上がった。
「どんな時も、僕は常に、曲となってあなたのそばにいられるように――そういう曲になれるように書いてるから」と観客に呼びかけたSanoの「愛してるぜ!」の叫びとともに、「twilight」「梟」でライブはフィナーレを迎えた。刹那の焦燥や憂いに誠実に向き合うSanoの創造性が、格段に進化したライブアーティストの肉体性と渾然一体となって弾けた、珠玉の一夜だった。
なお、今回のツアーで披露された新曲「革命を覚えた日」は、2024年第一弾楽曲として来年1月に配信リリースが予定されている。
Text:高橋智樹Photo:増田彩来
<公演情報>
Sano ibuki ONE-MAN LIVE "GOOD LUCK"
11月25日(土) 東京・duo MUSIC EXCHANGE