プロデューサーが解説! 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』のキーワードは“チームワーク”
『ハリー・ポッター』シリーズのJ・K・ローリングが原作と脚本を務める映画『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』がついに8日(金)から公開になる。2001年の『ハリー・ポッターと賢者の石』以来、シリーズ全作品と“ファンタビ”シリーズのすべてを手がけてきた製作者デイヴィッド・ヘイマンは、“チームワークと団結力”が最新作の重要なテーマだと語る。
ヘイマンは英国生まれの映画プロデューサーで、ローリングが手がける“魔法ワールド”シリーズだけでなく『ゼロ・グラビティ』や『パディントン』など数多くのヒット作を生み出してきた。
彼の特徴は、その時に流行している題材や監督に飛びつくのではなく、自分が見込んだ原作や才能と長期間に渡ってタッグを組むこと。彼がプロデューサーを務めた『ハリー・ポッター』シリーズは約10年をかけて完結したが、主要キャストは変わることがなく、シリーズ後半でメガホンをとったデイヴィッド・イェーツが『…ダンブルドアの秘密』でも引き続き監督を務めている。
「『ハリー・ポッター』シリーズは、自分が作り出した作品に対する愛と情熱を、観客と同じ劇場で共に感じる喜びを与えてくれました。私は製作者として、観客に作品を提供できる立場に立ち、ダニエル、ルパート、エマやマシュー達が子供から大人へ、そしてキャラクターとして成長していく様子を目の当たりにできた。それは素晴らしい経験でした。
映画界でキャリアをスタートさせた時の私は、今よりずっと自惚れていたと思います。この長いキャリアを通して、過去の間違いから学び、人間としてだけでなく製作者として成長する機会が与えられたことは、とてもありがたく感じています。常に学び、より良い作品に仕上げたいという願いは、『ファンタスティック・ビースト』にも反映されています。私とデイヴィッド・イェーツ監督、美術監督のスチュアート・クレイグ、プロデューサーのティム・ルイスの関係は、ハリーとロンとハーマイオニーのように、映画を通して育まれた家族のような強いつながりです」
そんなヘイマンの長年に渡るチームの中には、作家J・K・ローリングもいる。『ハリー・ポッター』シリーズで彼女は“原作者”だったが、『ファンタスティック・ビースト』シリーズでは自ら脚本も執筆することになり、ヘイマンは脚本家ローリングの成長を見守り、サポートし続けている。「ジョー(ローリングの愛称)は聡明な人ですから、これまでの2作で成功した部分と、思い通りに実現しなかった部分を明確に見据えています。私たちは前作『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』に誇りを持っていますが、過去の失敗から学び、向上できる部分は、新作へと役立てています。
脚本を書くプロセスは、多くの人に耳を傾ける必要があるので、小説を書くのとは大きく異なります。
小説で描かれる世界は、作家から読み手へと届きますが、映画は、キャスト、監督、衣装デザイナーやVFXなどのスタッフ全員に世界観を理解してもらった上で一緒に作りあげていくので、コラボレーションが大切です。ジョーは、作家としてだけでなく、脚本家としても意識が高いので、映画製作のプロセスをより理解し、描きたい世界をどう実現させていくかを常に学び、成長していると思います」
そこで本作では『ハリー・ポッター』シリーズで脚本を担当し、ファンタビ前2作では製作も担当していたスティーヴ・クローヴスが共同で脚本を手がけることになった。
「彼は前2作でも脚本家としての知恵を貸してくれました。ジョーは本シリーズの制作において、とても荷が重い立場に立っています。そこで今回は、彼女が信頼を置くスティーヴに、脚本執筆プロセスのサポートをしてもらうことになったんです。脚本を書き上げるプロセスはとても孤独なので、スティーヴのような才能のある脚本家と一緒に取り組むことで、役割を分担して仕上げることがでました」
信頼できる仲間と長い時間をかけてチームをつくり、ひとりでは立ち向かえない難題に挑む。ヘイマンの映画づくりに向き合う姿勢は『ファンタスティック・ビースト』シリーズで描かれるドラマと共通する部分が多い。
最新作では、少し風変わりな魔法動物学者のニュート・スキャマンダーが、ホグワーツ魔法魔術学校の先生ダンブルドア、パン屋を営むマグル(魔法を使わない人間)のジェイコブ、呪術学の教師ユーラリーらとチームを結成。
史上最悪の黒い魔法使いグリンデルバルドに立ち向かうことになる。しかし、魔法界にはグリンデルバルドを支持する者も多く、正面きって彼と対決して倒すことは難しいだろう。そこでダンブルドアはデコボコチームで“ある作戦”を遂行する。
「本作でも、孤独なキャラクター達が歩み寄り、思いやりを育む様子が描かれていますから、チームワークと団結力は重要なテーマです。『ハリー・ポッター』では、家族に恵まれず孤独な過去があるハリーが、ロン、ハーマイオニー、ネビル、シェーマスらと家族同等の友情を築く様子が描かれました。もちろんハリーがひとりで立ち向かわなくてはならないこともありましたが、皆と協力しながら、苦難を乗り越えてきましたよね。
一方、ニュートは人間関係を築くのが苦手な、内気で孤独な人物です。ダンブルドアは、そんなニュートや、その他のキャラクターを頼りにしなくてはなりません。
本作でも、様々なキャラクターが協力し合い、その過程で孤立したキャラクターが各々成長していく様子を描いています」
最新作『…ダンブルドアの秘密』の注目ポイントは?
デイヴィッド・ヘイマン
ダンブルドアは“史上最も偉大な魔法使い”と呼ばれている男だ。しかし、彼ひとりではグリンデルバルドに立ち向かえない。ニュートはチームで重要な役割を果たすがシャイでチームを引っ張るようなキャラクターではない。ジェイコブにいたっては魔法を使うこともできない。しかし、彼らはそれぞれの個性を生かして、観客がアッと驚く方法で最強の敵に立ち向かうことになる。
個性を生かしながら、チームでしかできないことを成し遂げる。それは本作の最大の見どころであり、ヘイマンがキャリアを通じて追求してきたテーマであり、“観客が映画館でファンタビを楽しむこと”ともつながるとヘイマンは言う。
「映画館の大きなスクリーンで観客と一緒に映画を体感する事は、私の喜びのひとつなんです。
映画は視覚表現のメディアで、『ファンタスティック・ビースト』は大きなスクリーンで鑑賞されるために作られたので、圧倒的なビジュアルを楽しむには、映画館で観るのが最適だと思います。
私は家でテレビを見るのも好きですが、これからもずっと映画館に足を運ぶと思います。映画館で他の観客と一緒に大スケールの作品を観て、泣いて笑う体験は、私にとって人生の大きな喜びのひとつなんですよ。映画館は、周りの観客と一体化するコミュニティーを提供するのと同時に、個人個人が持ち帰るユニークな体験があると思います。個性とコミュニティーの両方を大切にする。私の映画のテーマと似ていますよね」
魔法動物が大好きで、少し変わってるけど魅力的な主人公ニュートが初登場したシリーズ第1作、魔法界を、そして人間界を揺るがす脅威の出現を描いた第2作を経て、最新作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』ではついにグリンデルバルドとの本格的な対決が描かれ、キャラクターそれぞれの個性とチームワークが物語の中心に据えられている。ちなみに劇中にはハリー・ポッターも通ったホグワーツ魔法魔術学校も登場する。どのシーンで、どのぐらい描かれるのかはまだ秘密だが、ヘイマンと仲間たちは物語にホグワーツが登場する必然があるのかじっくりと見極め、最大の愛情と準備をもってホグワーツを描いたようだ。
「ホグワーツはダンブルドアの居場所ですから、話の流れ上、自然に登場します。本作ではダンブルドアとグリンデルバルドの関係や、ダンブルドアの妹のアリアナの存在も重要な鍵になるので、アリアナの肖像画が飾られているホグワーツは、舞台として外せませんでした。
ホグワーツのビジュアル面の再現は、『ハリー・ポッター』シリーズのホグワーツを築きあげた美術監督のスチュアート・クレイグと、ニール・ラモントが手がけてくれたので安心でした。デヴィッド・イェーツ監督はハリーポッター全8作中4作に、私は7作携わっていますから、みんなとても馴染みのある世界です。
今回登場するホグワーツは、『ハリーポッター』のホグワーツを見慣れた観客も、初めて『ファンタスティック・ビースト』で目にする観客も、ワクワク感が感じられる世界に再現されていると思います!」
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』
4月8日(金)公開
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