何のために映画祭はある? 「東京フィルメックス」ディレクターが語る
毎秋に開催されている映画祭「東京フィルメックス」が現在、有楽町朝日ホールをメイン会場に開催されている。2000年にスタートした映画祭も今年で20回目。記念すべき年の開催だが、映画祭ディレクターの市山尚三氏は、過去を振り返るよりも「新しい展開を考えたい」と語る。
“アジアから世界へ、未来を見据えた国際映画祭がスタート”のコピーと共に東京フィルメックスが始まったのは2000年の12月。この段階で後に巨匠と称されるアピチャッポン・ウィーラセタクン監督や、今年のオープニングを飾ったロウ・イエ監督の作品がコンペ部門に入っているなど、作品を選ぶ眼の確かさが光っているが、市山氏は「最初はオフィス北野がメインのスポンサーで、森社長(当時)から“5年はやります”って言われていたんですよ」と振り返る。
「だからそれは5年間で体制をつくるって意味だったと思うんです。だから最初の年は民間から集めた協賛金だけでやったんですけど、2年目から文化庁の外郭団体の芸術文化振興基金の映画祭支援に申請を出して、国際交流基金にも申請して助成金を得ることができた。なので、必要な資金の半分ぐらいをそこでまかなって、残りを入場料収入と民間からの協賛金で集めることになりました。