ちな&角野隼斗インタビュー。アニメーション映画『ファーストライン』で“同世代”コラボ
僕はそこに影響を受けてアニメ業界に入ってきました。いまのアニメーションは線が増えていて、線を増やすメリットもあるんですど、増やすことよりも、どれだけ少ない線でニュアンスをこめられるのか、密度を高めていけるのか? これもひとつの制約ですよね。
「同世代から受ける刺激は大きい」
その想いがピークに達するのが、本作のクライマックスで描かれるあるワンシーンだ。そこでは鳴り響いていた音楽が消え、選び抜かれた線だけでキャラクターの感情が溢れ出す一瞬が描かれる。角野クラシックでも音が“鳴ってない”時間ってすごく重要なんです。演奏される場所がコンサートホールだと無音になった時には何もノイズがない状態になる。それをどう聞かせるか。そこは映画音楽にも通ずるものがあるのかもしれないです。
あの瞬間は登場人物のセリフとか、鼻をすする音を際立たせるためにも無音にしたいと最初から考えていました。
ちな監督角野さんから音楽のデモをいただいた段階から、あのシーンは無音になっていたので、そのことは意識して作画をしました、それにすべての映像を完成させてダビングをする段階でも音響監督の方から『このシーンはやっぱり無音ですよね』って言われて、それまで薄く入っていた環境音もすべてカットして無音にして……みんなの心が一致したなと(笑)