漱石の世界を70年代の日本を舞台に翻案、マキノノゾミ×西川信廣3度目のタッグ。文学座『昭和虞美人草』開幕
文学座公演『昭和虞美人草』が3月9日(火)より信濃町文学座アトリエにて開幕する。
脚本をマキノノゾミが書き下ろし、西川信廣が演出を手掛けるシリーズ。ミュージカル『王様と私』を下敷きに明治時代の子爵とアメリカ人女性との交流をコメディタッチで描いた『殿様と私』、野口英世の浪費家の一面を描いた『再びこの地を踏まずー異説・野口英世物語―』に次ぐ3作目となる。
今回マキノが目をつけたのは、夏目漱石の『虞美人草』。大学時代に読んだままになっていたこの小説を数年前に改めて読み直してみたところ、「ロックな話だ」と感じたのだという。そこから、『虞美人草』を翻案した今作が生まれた。
『昭和』とひとくちにいってもその期間は長く、また時期によって社会状況は全く異なるが、『昭和虞美人草』で描かれるのは1973年、昭和48年の世界。登場するのは、ビートルズやローリングストーンズなど70年代のロックに陶酔している若者たち。
マニアックなロック雑誌の編集に携わる彼らが、高度経済成長を遂げようとする時代の流れの中で、将来について、恋愛について迷い悩む。原作では家督相続を放棄した資産家の息子が、今作ではロック雑誌に夢中になっている代議士の息子、といった形で、一見まったく異なる世界に移し替えられたように見える。