2022年3月7日 18:00
舞台『怖い絵』尾上松也インタビュー「固定観念にとらわれないダークヒーロー像を」
家に絵画は飾ってありますが友人の作品が多く、気に入っている特定のアーティストがいるわけではないんですよね。
──中野京子さんが手がけた原作の『怖い絵』は読まれました?
劇中とリンクする「怖い絵」の説明を拝読しました。それまでいまいち絵画の鑑賞方法がよくわからなかったのですが、その作品にどんなストーリーがあるのか、どういういきさつがあって描かれた作品なのか、「背景」を踏まえて観るだけで新たな発見があって、アートにおもしろさ・興味深さを感じることができました。
──原作の中で松也さんの印象に残った「怖い絵」をひとつご紹介いただけませんか?
僕が大きなインパクトを得たのは、≪切り裂きジャックの寝室≫という作品です。19世紀の英ロンドンに現れた連続殺人犯として知られる切り裂きジャックの部屋を、ウォルター・シッカートという画家が描いたのですが……どうにも鳥肌が立つような、不気味な絵画なんですよ。
──どんな「背景」がある作品なんですか?
シッカートは切り裂きジャックが住んでいたとされる部屋にわざわざ引っ越して絵を描くほど、事件にとても執着していたそうです。のちに親族が「シッカートこそ切り裂きジャックだった」