2023年12月11日 12:00
帰ってきたカウリスマキ!新作『枯れ葉』。細やかな感性と地味派手な映像健在──【おとなの映画ガイド】
淡々としたなかに醸しだされるそこはかとないユーモア。静かなたたずまい、おそらく計算しつくしたのであろうアングル、配色、そしてタイトルにもなったシャンソンの『枯葉』をはじめとするぶっとんだ選曲の音楽……、監督の魅力は健在だ。
人口約550万人のフィンランドでは、公開されるやいなや動員20万人を超える大ヒットを記録。単純計算すれば、日本なら450万人を動員したってことだ。こりゃ凄い。今年のカンヌ国際映画祭では審査員賞に輝き、2023年国際批評家連盟の年間グランプリに選ばれ、アカデミー賞国際長篇映画賞部門のフィンランド代表作品でもある。
舞台は、現代のヘルシンキ。納得いかない理由でスーパーを解雇された女・アンサと、工事現場でこっそり酒を飲みながら働く男・ホラッパが、カラオケバーでたまたま近くに座り、不思議に惹かれ合うことから物語は始まる。
アンサ役のアルマ・ポウスティは、ムーミンの作者であるトーべ・ヤンソンの半生を描いた『TOBE/トーベ』(2020) でユッシ賞(フィンランドのアカデミー賞)主演女優賞を受賞。ホラッパ役のユッシ・ヴァタネンはフィンランド史上最大のヒット作『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』に主演している。