2023年12月11日 12:00
帰ってきたカウリスマキ!新作『枯れ葉』。細やかな感性と地味派手な映像健在──【おとなの映画ガイド】
つまり、ともにフィンランドを代表する俳優。カウリスマキ作品には初の出演だ。
ほかに、監督の過去作『街のあかり』のヤンネ・ヒューティアイネンや『希望のかなた』のヌップ・コイブも出演。そして、彼の作品に欠かせない愛犬も生命の象徴的役割で出演している。この子の可愛さといったら……。
ふたりは、ひょんなことからまた出会い、一緒に映画を観に行く。淡々とゾンビ映画を観るふたりの姿が映し出される。その後、ふたりはかみ合っているのかいないのか、コミカルで、風変わりなやり取りがあり、ちょっとしたトラブルから、なかなか距離が縮まらない。
そんな、不器用なふたりの恋の行方が描かれる。
フィンランドは寡黙な人が多いという。お酒飲みもまた、多い。
アルコール依存症気味のホラッパと友人との会話も言葉少なめで、どこか哲学的だ。「気が滅入る。酒を飲み過ぎて」。「なぜ酒を飲むのか」。「気が滅入るから」。
そう言いながら、また酒を飲む。
アンサのミニマルな暮らしぶりもフィンランド的だ。家具は少なく、TVもない。ラジオでニュースや音楽をきいていたりする。流れてくる音楽はノスタルジックなものばかりで、どこか懐かしい世界なのだが、聞こえてくるニュースはロシアのウクライナ侵攻を伝えていて、あ、今のお話なのだ、と気づく。