2023年12月11日 12:00
帰ってきたカウリスマキ!新作『枯れ葉』。細やかな感性と地味派手な映像健在──【おとなの映画ガイド】
実は、監督が復帰する引き金は、ウクライナ戦争だったようだ。
「無意味でバカげた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、ついに人類に未来をもたらすかもしれないテーマ、すなわち愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました」というのが監督の想い。
過去の作品と同様、上映時間は短く、81分。セリフは少ないが、内容は深い。
来日したアルマ・ポウスティは先行上映の舞台挨拶で「私の人生の中で出会った一番短いページ数の脚本でした。でも珠玉の一冊であり、素晴らしい文学であり詩的で、慎重に選ばれた言葉が使われています。……アキの作品では、ミニマルに見える中にたくさんの感情や人生が詰まっている。彼は沈黙に対する信頼が大きく、同時に観客にも解釈の余地を与えている」と語っている。
12月9日(土) から1月12日(金) まで、『枯れ葉』の公開を記念して「愛すべきアキ・カウリスマキ」という特集上映が、渋谷・ユーロスペースで行われている。長編デビュー作『罪と罰』(1983) から、前作の『希望のかなた』(2017) までの17作品の上映。