愛あるセレクトをしたいママのみかた

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」

ぴあ
町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」

(撮影/稲澤朝博)



町田啓太の2025年は、さらなる未来の開花を予感させる1年だった。

3年ぶりの連ドラ主演となった『失踪人捜索班 消えた真実』。1年以上に及ぶギター練習を経て臨んだNetflixシリーズ『グラスハート』。そして、今まさに大きな話題をさらっているNetflix映画『10DANCE』。出演作を重ねるたびに最高値を更新し続けるその雄姿に、胸の高鳴りが止められない。

そんな町田啓太の2025年ラストを飾るのが、WOWOW 連続ドラマW池井戸潤スペシャル『かばん屋の相続』。10年ぶりの邂逅を描いた本作で見えてきたのは、町田啓太が駆け抜けた10年の重みだった。

西浦さんとだから、役の深いところまで潜れた

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」


年の瀬を彩る注目作品として、WOWOW 連続ドラマW池井戸潤スペシャル『かばん屋の相続』が放送・配信される。
その名の通り、ベストセラー作家・池井戸潤による同名小説を原作とした1話完結のオムニバスドラマ。町田啓太は第1話『十年目のクリスマス』で主人公・永島を演じる。

「池井戸さんの作品はいつかチャレンジしてみたいなと思っていたので、いい機会をいただけてありがたかったです」

いつものように柔和な笑みをたたえながら喜びを口にする。企画・プロデュースの青木泰憲、監督の西浦正記は、『連続ドラマWフィクサー』でタッグを組んだ間柄だ。

「今回、青木さんからオファーをいただきまして。原作は池井戸さんで監督は西浦さんだと聞いた時点で、これは面白くなるなと思って、すぐにやりますとお返事しました」

信頼しているチームでのクリエイションには、以心伝心の楽しさがある。

「西浦さんはロジカルに演出をつけたり、アイデアをくださる方です。そこが、役を一緒に構築しているみたいな感じがして、僕は好きで。
たとえば、西浦さんが『ここで握手をしてみようか』と言ったとします。まだ関係性がつくれていない相手だと、握手をするという指示をつい記号的に捉えてしまうかもしれない。でも、西浦さんとなら握手に込めた意図がわかるから、『なるほど。それは面白そうですね。やってみます』となる。スムーズに意思疎通ができる分、僕ももっと物語や役を理解することに自分のパワーをかけられる。おかげで、より深いところまで潜ることができるんです」

組織で働くって大変だなと思いました

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」


銀行員の永島は、資金繰りに苦しむ取引先と、融資に難色を示す上役との板挟みに遭い、葛藤する。会社勤めの苦労に、演じながら心を寄せた。


「組織で働くって大変だなと思いました。人間関係だけでも大変なのに、そこにお金が絡むともっと大変になる。支店長や課長も別に悪いことをしているわけじゃないですから。リスクや利益のことを考えれば、彼らの言い分は当然とも言える。そこが組織で働く者からすると歯がゆいところでもあり、悔しいところですよね」

銀行からの融資を見送られた取引先はやがて倒産。永島は苦い思いを残したまま、その後もキャリアを歩み続けた。物語は、それから10年後。倒産した取引先の元社長を偶然見かけたところから始まる。
経営者として大きくつまずいたはずの元社長は、まるでそんなことなどなかったかのように立派な身なりをしていた。

「あのとき、永島は悔しかったんだと思います。もちろん困惑もあるけど、騙されたみたいな気がして腹が立ったんじゃないですか。真相を知りたいというと、ちょっと正義みたいな感じがしてカッコいいけど、根っこにあるのは悔しさだった気がします」

信頼を築く上で大切なのは、対話をすること

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」


池井戸作品らしいミステリー要素もあるが、本作のベースとなるのは人情。慌ただしい年末に、人と人が生きる上で大切なことは何かを思い出させてくれるヒューマンドラマだ。

「人のことを勝手に決めつけちゃダメだなって、台本を読んで思いました。結局、人ってわからない。視点が変われば見え方も変わるし、TPOに応じて態度も変わる。
僕だって実家にいるときは、もっとだらっとしてますからね(笑)。みんなそうだと思うんですけど、仕事場に行ったら、自分で自分にフィルターをかけて、仕事用の自分を演じたりしている。目に見えているものだけで判断しちゃうと、相手を見誤ってしまうんですよね」
では、どうやって人は人と信頼を築いていけばいいか。町田には、人間関係において大切にしていることがある。

「対話をすることですね。相手がどういう人間かなんてわからないけど、わからないからこそ対話をする。大変なことですけどね、それって。でもだからといって、あきらめちゃいけないなって。
話すことなんてなんでもいいんです。むしろ芯のある話をしようって狙うんじゃなく、他愛のない雑談を一つずつ積み重ねていくことが、信頼につながっていくのかなと」

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」


町田も現場で出会う人たちと些細な対話を重ねてきた。その結果、今回のように以前仕事をしたことがある人たちと「また一緒にやりたい」と言ってもらえる関係性を築くことができた。

「あとは、目の前の人に対して、この人も誰かの大事な人なんだと思うこと。わかり合えないこともあるし、腹の立つこともあるけど、この人にも家族や友人、誰かしら大事に思ってくれている人がいるんだと思ったら、ぞんざいにはできない。他者を尊重するって、そういうところから始まる気がします」

10年前は、とにかく売れたいって必死だった

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」


10年越しの再会が、隠されていた真実へと永島を結びつける。10年というのは、人が変わるには十分すぎる時間だ。

「永島と僕は同世代。
10年前の僕は何もわからないながら一生懸命目の前の仕事にぶつかっていって、人や物事の裏や表を、まるで考えていなかった。そういった自分自身の経験を投影することが、役のいい肉付けになるのかなと思いながら演じていました」

町田啓太の10年前は25歳。『美女と男子』で新人俳優・向坂遼役に抜擢され、役者として一つ階段を上りはじめた時期だ。

「当時はとにかく売れたいって必死でした。現状に対する満足感はまったくなくて。でも不思議と自分の未来に希望は持っていたし、説得力のない自信はあった。今こうして振り返ってみると、『美女と男子』でよくあの頃の自分にあのポジショニングの役を与えてくれたなって。僕が制作の立場だったら、めちゃくちゃチャレンジングだなって、ちょっとビビってますよ(笑)。あのとき自分よりお芝居ができる人がいっぱいいる中でチャンスを与えてもらったことがうれしかったし、その気持ちに応えようって一生懸命頑張っていた記憶があります」
10年の時を経て、町田啓太は何が変わっただろうか。

「目の前のことに対して一生懸命やるぞという姿勢は何も変わっていないです。でも、それ以外は何もかも違うかもしれないですね。やってることも、考えていることも、10年前とはまったく違いますし」

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」


町田啓太は、思索の人だ。なぜこの役は今こういう行動をとったのか。深く考え、いくつものアプローチを用意する。こうした取材の場でも、ウィットな切り返しを混ぜ込みながら、時にフィットする答えが出てくるまで、じっくり長考する。真面目すぎるくらい真面目な人だ。

「考え込みがちなのも昔から変わらないですが、経験値が増えた分、考える選択肢も増えた気がします。もっと若い頃はどう自分自身を役に投影できるか考えすぎた結果、思考の通路がぐちゃぐちゃになって、すぐ行き止まりにぶつかっていた。けど、今はだいぶ自分で整理できるようになりました」

視野が狭く、武器の種類も少なかった若い頃とは違う。今はひとつ道が塞がれても別の抜け道に切り替えられるし、自分でバイパスをつなぐこともできる。いろんなルートを探りながらゴールを目指せるようになった。

「何より自分の考えていることを言葉にできる力がついた気がします。それは認めてくださる方が増えたおかげで、何かを言ったときに聞いてもらえるようになったというのも大きいです。10年前は、監督から言われたことをどう形にするかでいっぱいいっぱいでしたから。今はこういうアプローチもあるんじゃないかというふうに監督と話ができるようになった。そこは大きな変化だと思います」

この10年の頑張りに7点くらいはつけてあげたい

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」


スマートに見えて、不器用で、愚直。なんでもさらりとこなしているように見えるパブリックイメージの裏側には、もがいて、つまずいて、立ち上がって、汗まみれになりながら食らいついてきた、泥臭い町田啓太がいた。それが、町田啓太の10年だ。そんな10年に採点をするなら、本人は何点をつけるだろうか。

「結構頑張ったんで、7点くらいはあげたいかもしれない」

10点満点中7点。その点数は、個人的には意外だった。謙虚が服を着て歩いているような彼のことだから、もっと低い点数をつけると思っていた。

「確かにもう少し前の自分だったら3点とか4点と言ってた気がします。でも、ちゃんと頑張ったから、そこぐらいは認めてあげてもいいのかなと。と言っても、ここでどうしても10点と言えないところが私(わたくし)だと自分では思っております(笑)」

最後はいつもの通り、そうチャーミングに締めくくった。かつては「自己肯定感が低い時期もあった」という町田啓太は今、健やかな自己肯定感に満ちている。足りなかった残りの3点は、次の10年にお預け。でも、きっと10年後も彼は7点くらいの点数をつけそうな気もする。そういう町田啓太が、私たちは大好きなのだ。

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」


撮影/稲澤朝博、取材・文/横川良明
ヘアメイク/Kohey(HAKU)、スタイリング/石川英治

★「BOYSぴあ編集部」Xアカウントをフォロー&リポストで、町田さんのサイン入りチェキを1名様にプレゼント!

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」


【応募方法】
①BOYSぴあ編集部( @boys__pia(https://x.com/boys__pia) )のXアカウントをフォロー。
②該当ポストを応募締め切りまでにリポストしてください。


#町田啓太(https://twitter.com/hashtag/%E7%94%BA%E7%94%B0%E5%95%93%E5%A4%AA?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw) さんのサイン入りチェキを1名様にプレゼント

【応募方法】
①本アカウント( @boys__pia(https://twitter.com/boys__pia?ref_src=twsrc%5Etfw) )をフォロー
②本投稿をリポスト
※応募締め切り:1/2(金)まで

インタビューはこちら!
https://t.co/N0ZM8qKbSB @drama_wowow(https://twitter.com/drama_wowow?ref_src=twsrc%5Etfw) #WOWOW(https://twitter.com/hashtag/WOWOW?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw) #連続ドラマW(https://twitter.com/hashtag/%E9%80%A3%E7%B6%9A%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9EW?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw) #かばん屋の相続(https://twitter.com/hashtag/%E3%81%8B%E3%81%B0%E3%82%93%E5%B1%8B%E3%81%AE%E7%9B%B8%E7%B6%9A?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw) pic.twitter.com/mZFnIWwG5w(https://t.co/mZFnIWwG5w)
— BOYSぴあ編集部 (@boys__pia) December 19, 2025(https://twitter.com/boys__pia/status/2001849976607932529?ref_src=twsrc%5Etfw)
【応募締め切り】
2026年1月2日(金) 23:59まで

【注意事項】
※当選者の方には2026年1月5日(月) 以降にXアカウントよりDMにてご連絡いたします。やむを得ない事情によりご連絡や発送が遅れる場合もございますのであらかじめご了承ください。
※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。

<作品情報>
連続ドラマW池井戸潤スペシャル『かばん屋の相続』

町田啓太が駆け抜けた10年「変わらないのは、一生懸命やること」


WOWOWにて12月27日(土)、28日(日)午後10:00放送・配信
(全4話/第1話無料放送)
WOWOWプライムWOWOWオンデマンド

連続ドラマW池井戸潤スペシャル『かばん屋の相続』本予告映像


公式サイト:
https://www.wowow.co.jp/drama/original/kabanyano-souzoku/

提供元の記事

提供:

ぴあ

この記事のキーワード