『Nerhol 水平線を捲る』千葉市美術館で開催中 千葉市の花「オオガハス」を用いた新作の展示も
このポートレートシリーズは、メキシコ在住の日系3世をインタビューした映像から制作するなど、その後も展開を続けている。
《Interview / Mr. Isao Pastelin》2024年©NerholCourtesy of The AMMA Foundation
また、「場所性」を大切にしている彼らは、アーティスト・イン・レジデンスや展覧会を契機に、その場所固有の歴史、社会、自然環境などのリサーチを経て作品を制作している。今回の個展は、2018年に大分県別府市で滞在制作した作品群から始まる。筆者は当時、別府市で鑑賞しているが、かつて飼育され、川に放流されて交配したと思われる熱帯魚をモチーフとするなど、自然と人為の関係もテーマのひとつだ。
大分県別府市に滞在して生まれた作品群。
また、彫る素材にはアーカイブ写真や映像を使うこともある。パブリック・ドメインであるNASA有人宇宙飛行士の実験映像を素材とした《Remove》は、「VOCA展2020現代美術の展望」のVOCA賞(大賞)受賞作。受賞記念展の会場である第一生命日比谷ファースト(旧第一生命保険本館)は、戦後はGHQに接収され、日本国憲法のGHQ案が起草されるなど歴史の転換点となった場所。