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スターダスト☆レビュー×怒髪天 ライブバンドの宿命に導かれて中野サンプラザで実現したリスペクトと感謝の詰まった激アツな対バンをレポート!

ぴあ
スターダスト☆レビュー×怒髪天 ライブバンドの宿命に導かれて中野サンプラザで実現したリスペクトと感謝の詰まった激アツな対バンをレポート!


普通に始まるわけはないと思っていた。しかし……これはあまりにも予想外だった!

暗転して会場に流れたのはマイケル・ジャクソンの「Beat It」(今夜はビート・イット)。上手からスターダスト☆レビューの5人が、下手から怒髪天の4人が、「Beat It」のMVでやっていた右手を腰の位置で振ってリズムを取るあの動きで出てきた。もはやバンドマンというより酔っぱらいのおじさん大量発生という地獄絵図に見えなくもないが、いやいやそんなことはない、これは対決の構図なのだ。中央で睨みあう2バンド。あたかも埼玉と北海道のメンツをかけたバンド抗争の様相で始まったこの一夜限りのツーマン。おそらく、中野サンプラザ閉館という一大事がなければ実現していなかっただろう。

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「何立ち上がってんだよ?音楽だけ聴こうなんて思ってないよね?」

まさかのオープニングに興奮した総立ちのオーディエンスに、根本要のこれまたまさかの一言が炸裂する。


スタレビ、怒髪天、どちらも日々ライブ三昧の生活を送る正真正銘のライブバンドとして名を馳せているのは有名だ。いずれがライブの帝王か?いよいよ決着の時は来たれり。果たして――その決着の方法とは?

「あなたも一緒に考えよう!中野サンプラザクイズ!」

まだ始まって10分も経っていない、なのに何度目の「まさか」だろう。根本の「今日は中野サンプラザに敬意を込めて、みんなで中野サンプラザの歴史も知ろう!」という発言に促され、本当にクイズが始まった。根本が出題者になり、残りのメンバーが4対4に分かれ、中野サンプラザ50年の歴史から出題される三択クイズに挑んだ。※このレポートの文末に問題と答えを書いておきますのでお楽しみください。

開場中から気になっていたことがあった。ドラムやアンプ類が、どう見ても2バンド分セッティングしてあるのだ。
なんと、どちらが先にやるのかはオープニングの時点でもまだ決まっておらず、これからジャンケンで決めるというのだ。それぞれのバンドを代表して、根本要と増子直純がジャンケンした結果、増子の勝利。迷うことなく先行を選んだ。

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「はいどうもー!今日はスタ☆レビ大先輩との対バンということで。お客さんもスタ☆レビ 先輩のお客さんが多いですね。我々の今のアー写を見て、ひどいのが来るんじゃないかと心配された方も多かったとお察しします。こんな、かわいいおじさんたちのバンドですから。今日は伝えられるものを全部、全力で伝えていきたいと思います。
じゃ行くかー!」

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1曲目は、「ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!」。4人が一塊りになって放つ音がオーディエンスの心と中野サンプラザの壁に食い込んでいく。とにかく観ていて、聴いていて、惚れ惚れするような爽快なパフォーマンスだ。最初のMCで増子が「もしこれで、あーちょっとな……って思われたら、これ以上我々に打つ手はありません」と潔く宣言した通り、「令和(狂)哀歌」「GREAT NUMBER」と新旧の名曲を惜しげもなくつぎ込んでいく。8曲目の「ド真ん中節」までペース一切無視の全力疾走。大先輩へのリスペクトと歴史あるホールへの感謝をこれ以上ないくらいストレートで剥き出しな演奏で表現していく。お世辞ではなく、会場の誰もが怒髪天を好きにならずにはいられなかったと思う。

ここで増子が根本を呼び込む。


「いやぁ〜、やっぱり俺たちも股広げて演奏しなきゃダメだな。まあ座れよ、話長くなるから」

そう言って、根本が話出したのが、スタ☆レビと怒髪天の3つの共通点について。
「1つ目は、ヒット曲がないってこと」

そこですかさず増子が、「(スタ☆レビには)ヒット曲たくさんあるじゃないですか!」と突っ込んだら、「いや、知ってる人は知っているっていうくらいのことだから」と根本が受け流す。

「2つ目は、話題性がない。で、3つ目は、捕まったやつがいない(笑)。でもさ、俺も40年いろんな音楽業界の人と話をしてきたけど、増子くらい話が合うやつはいない。もっと早くやっとけばよかったよな」

「や、ほんとですよ。あと共通点で言えば、メンバーがとんでもないっていうのもありますけどね(笑)」

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ここで、怒髪天の「歩きつづけるかぎり」を一緒に歌った。
なんて貴重な瞬間なのだろう。ラストはライブ定番楽曲、「オトナノススメ」。結成39年、偉大すぎる大先輩の背中を追いかけてまだまだ突っ走る――そんな決意表明にも似たライブだった。
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2回目の中野サンプラザクイズ!を挟んで、いよいよスターダスト☆レビューの登場。喉のアイドリングを兼ねて、アドリブのメロディに乗せたメンバー紹介から始まる斬新なスタイルは、そのままメンバー5人によるア・カペラでの「Amazing Grace」、そして「夢伝説」へとなだれ込む。ちょっと凄すぎるって!前々回ツアーの中野サンプラザでのライブの時、電飾の不具合でスタートが20分遅れるのを、お客さんを待たせるのは悪いからとア・カペラだけでつないだという伝説は、紛れもなく真実だと確信した。いや、別にただの伝説だ、などとは思っていなかったが、この日のスタ☆レビのパフォーマンスを観て、この人たちにできないことはないのだと心の底から納得させられた。

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「木蘭の涙」を久しぶりにフルバンドVer.で披露し、さらにこんなサプライズな選曲もあった。


「中野サンプラザは88年から使わせてもらっていて、今回が43回目になるんだけど、実は、本当の最初は1979年。ヤマハポプコンの関東甲信越大会の決勝が中野サンプラザだったんだよね。普段は滅多にやらないんだけど、その時にやった曲をやります」(根本)

まだ、スターダスト☆レビューとなる前、その前身バンド「アレレのレ」時代の曲で「たそがれラプソディ」。照明もほとんど地明かりのみで当時の雰囲気を再現して行われた演奏は、本当に貴重なものとなった。

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続く「銀座ネオン・パラダイス」では、「銀座」を「サンプラザ」に変えて歌唱。また、サビ後に「ウッ!」と発声するところで、オーディエンスの反応が良くなかったと演奏を途中で止めてやり直すという場面も。このへんも、もはやアドリブなのかそうじゃないのかわからないが、とにかく演奏の熱量の高さと気持ちの余裕がいい具合に混ざり合って、オーディエンスが楽しみながらライブに集中できる余白を生み出しているのはさすがの一言に尽きる。

最後の曲を前に呼び込まれた増子直純がこう言った。


「楽屋で聴いていたんですけど、好きな曲のオンパレードで、完全に我々を殺しにきてるなと。みんな瀕死の状態になっています(笑)」
これに笑いながら、根本が応える。

「いや、ほんとに、こうやって自分たちの音楽をお客さんの目の前で鳴らせるということが本当に楽しいです。これがやりたくて僕たちも怒髪天もバンドをやっているんだからさ」(根本)

ラストは「今夜だけきっと」。増子のリクエストで実現したコラボレーションで締めた。

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クイズの最終決戦を経て、アンコールではサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにおねがい」を2バンドでセッションした。これから時がどれだけ経とうが、ライブはなくならないし、中野サンプラザで行われた数々の名演が色あせることはない。そこでハッと気づかされた。今回のこのライブは、スターダスト☆レビューと怒髪天の対バンなのではなく、そこに中野サンプラザも入れたスリーマンだったのだということに。

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Text:谷岡正浩

<公演情報>
『さよなら中野サンプラザ音楽祭』

2023年5月11日中野サンプラザ
出演:スターダスト☆レビュー / 怒髪天

セットリスト ■怒髪天 1. ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー! 2. HONKAI 3. プレイヤーI 4. 令和 (狂) 哀歌 5. GREAT NUMBER 6. クソったれのテーマ 7. 孤独のエール
8. ド真ん中節 9. 歩きつづけるかぎりwith 根本要 10. オトナノススメ
■スターダスト☆レビュー
1. Amazing Grace 2. 夢伝説
3. 還暦少年
4. 木蘭の涙 5. たそがれラブソディ
6. 銀座ネオン・パラダイス
7. NO! NO! Lucky Lady 8. と・つ・ぜ・ん Fall In Love 9. 今夜だけきっと with 増子直純 ■Encore タイムマシンにおねがい スターダスト☆レビュー×怒髪天 <おまけ> 「あなたも一緒に考えよう!中野サンプラザクイズ!」 第1問:中野サンプラザの総客席数は? ① 2221 ② 2222 ③ 2223 第2問:海外アーティストでの初公演はサラ・ヴォーンでしたが、日本のアーティスト初の単独公演をやったのは? ① ビリー・バンバン
② 沢田研二 ③ 宮史郎とぴんからトリオ
第3問:その日中野サンプラザでライブが行われるアーティストの曲を流してくれているご近所の商店街の名前は? ① サンシティ
② ブロードウェイ
③ サンモール
第4問:初来日が中野サンプラザだったというアーティストは? ① ビリー・ジョエル
② クイーン
③ デヴィッド・ボウイ
第5問:数々のテレビ番組の収録も行われました。実際に中野サンプラザで収録していたのは? ① NHKのど自慢
② カックラキン大放送!! ③ 8時だョ!全員集合 第6問:サンプラザというのは全国にあります。次の3つのうちでサンプラザがないのは? ① 広島
② 福岡
③ 札幌 第7問:中野サンプラザには様々な楽屋があり、「コンダクターズ・ルーム」と呼ばれるVIPルームがあります。そのVIPルームの1日の使用料はズバリいくらでしょう? (こたえ) 第1問:②第2問:①第3問:③第4問:①第5問:②第6問:②第7問:14,300円 関連リンク
スターダスト☆レビュー 公式サイト: https://s-d-r.jp/ 怒髪天 公式サイト: http://dohatsuten.jp/

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