リー・キット、潘逸舟ら8名が、非常が常態化する現代社会をテーマに作品を展示 特別展『非常の常』国立国際美術館で
2025年6月28日(土)より、大阪の国立国際美術館では、特別展『非常の常』を開催する。気候変動ほかの天変地異や、侵略、戦争、突然の経済危機など、本来非常であることが常態化している現在にあって、私たちはどのように生きることができるのか?国内外で活躍する8名の作家の表現を通じて、明日を生きる希望を探る展覧会だ。
今回紹介する作家たちは、様々な非常の出来事に目を向けている。例えば、イギリスを拠点に活動中の米田知子(1965~)の、一見穏やかで美しい風景写真は、実は、休戦状態で今も緊張が続く韓国と北朝鮮との非武装地帯(DMZ)を捉えた作品。また台湾を拠点とする袁廣鳴(ユェン・グァンミン、1965~)のビデオ作品は、心地良い居住空間が何者かによって次第に破壊されていく、戦争と背中合わせの日常を描き出している。
米田知子《絡まった有刺鉄線と花(非武装地帯近く・チョルウォン・韓国)Ⅰ》2015年 作家蔵 Copyright the artist Courtesy of ShugoArts
この袁廣鳴は、創意を凝らした撮影技術で驚くべき精緻な映像世界を作り出す作家だが、同展では8人中7人が映像によるインスタレーション作品を発表しているのも特徴だ。3Dアニメーションと実写を組み合わせた短編映画のようなキム・アヨン(1979~、韓国拠点)や、作家自身による体当たりの行為を美しいモノクロ表現で見せる潘逸舟(1987~、中国・上海市出身、日本拠点)の作品など、多様な映像表現に魅了される来館者も多いだろう。
袁廣鳴の《日常戦争》と、キム・アヨンの《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》は、同館に昨年度収蔵され、今回が初お披露目となる作品。
さらに香港出身で台湾に拠点を置くリー・キットの《僕らはもっと分別があった。》(We used to be more sensible.)は、2018年に東京で個展を行って以来、久々に日本で発表する新作だ。ぜひ、その絵画のように詩的な映像美を堪能したい。
リー・キット《Tearing the world apart, yet achieving absolutely nothing.》2025年 Courtesy of the artist / Lee Kit
<開催概要>
特別展『非常の常』
会期:2025年6月28日(土)~10月5日(日)
会場:国立国際美術館
時間:10:00~17:00、金土は20:00まで(入場は閉館の 30 分前まで)
休館日:月曜(7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)、9月16日(火)
料金:一般1,500円、大学900円
公式サイト:
https://www.nmao.go.jp/events/event/20250628_hijou-no-jou//
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