Northern19、新名盤を引っ提げた全国ツアーが渋谷で完結! 盟友dustboxと生み出した圧巻の熱気とシンガロング
Photo:半田安政
Text:吉羽さおりPhoto:半田安政
EP『FIVE FLESH』を携えて2月からスタートしたNorthern19の全国ツアー『FIVE FLESH tour』が、6月26日に東京・渋谷WWW Xでファイナルを迎えた。各地でゆかりの深いゲストバンドを迎えてきた本ツアーだが、ファイナルのゲストはNorthern19が先輩としてリスペクトし、もはや盟友とも言っていいdustboxだ。仲間のツアー・ファイナルを盛り上げるべく、この日dustboxが1曲目に選んだのは「Right Now」。ライブでは定番曲なので不思議はないが、この曲はdustboxの25周年記念カバーコンピレーション・アルバム『Timeless Melodies -a tribute to dustbox-』(2024年)の1曲目でNorthern19がカバーした曲でもある。
dustbox
粋な計らいでスタートしたライブは、極上のブライトなメロディと鮮やかなギターリフ、ノリも馬力も加速度的に上げていく強靭なビートで、瞬く間に会場を熱気で満たしていった。JOJI(b/vo)によれば、「ファイナルでしょ? お祭りってことだよね」とJOJIとサポートドラムのShunichi Asanuma(COUNTRY YARD)はいつもよりも多めに飲んでいるという。JOJIはこの後さらにご機嫌に缶ビールをあおり、SUGA(vo/g)は「Northern19、おめでとう!」と叫び、「不安の壁を壊せ!」と言ってアグレッシブなリフと共に「Break Through」で観客を勢いづけた。ツアーファイナルならではの高揚感か、あるいはアルコールが演奏のいい燃料にもなっているのか、いつにも増してバンド・アンサンブルもステージのムードもフレンドリーで、素晴らしいライブが展開されていく。
観客のシンガロングも大きく響くなか、「めちゃくちゃ楽しいです」と語ったJOJIは、楽屋でいつものごとく大して酒も飲まず真面目にあれやこれやと段取りをしていたというNorthern19の姿を明かし、袖でdustboxのステージを見守るメンバーに向かって「今日は楽しみなさい、ちゃんと!」と先輩らしく(?)檄を飛ばす。勝手知ったる仲ゆえの温かい投げかけだ。
「Here Comes A Miracle」での大合唱や、SUGAがゆったりとギターを奏で興奮を煽りながら突入した「Jupiter」で一気に爆発していくなど、ステージとフロアとが一体化したライブでNorthern19のツアーファイナルを祝した。そしてこのdustboxのエンディング時に観客から贈られたのは、トレイに並んだテキーラ(?)のショットグラス。JOJIがMCで「Northern19に酒でも奢ってやってくれ」なんて言ったものだから、ここで景気付けの一杯をとステージ袖にいた3人──笠原健太郎(vo/g)、敦賀壮大(b/vo)、馬場豊心(ds/cho)が引っ張り出されグラスをあおった。笠原は「なんでこうなるの!?」と言いつつも、「今日は楽しんでいって、乾杯!」と笑顔を見せた。会場に祝祭感が広がっていく様子に、dustboxも観客もしてやったりというところだろうか。
Northern19
「来たぜ、ファイナル。
やれるか、渋谷! 思い切りかますぜ」という笠原の言葉でスタートしたNorthern19のステージ。その1曲目は、EP『FIVE FLESH』の幕開けを飾る「NO GRAVITY」だ。頭から激しくパワフルなシャウトでスタートし、「GO!」の合図でツービートが加速、哀愁混じりのキャッチーなメロディに観客の合唱が重なる。これぞという高速のメロディックパンクは、このツアーを通して、速攻でフロアの興奮を頂点に持っていくような最強のライブチューンとして磨き上げられている。そこから初期の「STAY YOUTH FOREVER」「BELIEVER」、さらに「MORATORIUM」とシンガロング必至のライブ鉄板曲を惜しみなく連投する反則技のような流れに、観客の歓声や掲げる拳が一段と高くなる。
ちょっとした挨拶を挟む間にも、フロアの観客は1ミリも待てない様子でコールや手拍子で煽る。長いツアーで全国を巡ってきて、待ち望んだ東京公演だ。「今日はお祭りなので、遠慮なく、気兼ねなくやっちゃってください」(笠原)という言葉に続いて、「HOLY DIVERS」の馬場の勇ましいキックに合わせて、大きくシンガロングが会場に響きわたる。
間髪入れずに突入した哀愁のギターとメロディとでフロアをかき回す「FIND MY WAY」は、EP『FIVE FLESH』からの1曲だ。こちらもバンドにしっかりと馴染んで、曲が脈打っているような躍動感がある。
前半のMCでは、昨年の今頃はEPの曲作りに追われていたこと、そして秋にレコーディングを終えるや、休む間もなく今年1月に行なった「5会場曲被りなし!持ち曲全部やるワンマンツアー」のため130曲超えの曲のリハとライブに突入し、EPリリース、全国リリースツアーへと続いた怒涛の日々を語る。「いかれてるね」と言う敦賀に頷きつつ、笠原は「バンドはじめて23年目、今いちばん楽しいと思っています」と言う。さらに今回のツアーでは、ラスト3本でメロディックシーンの大好きな先輩バンドたち、“ロコダスト6”(locofrank、dustbox、HAWAIIAN6)を呼べたことを誇った。dustboxについて笠原は、初めて聴いたときにまさに自分がやりたいと思っていたような曲だったと、衝撃を受けた過去を明かす。その衝撃があったからハングリーに自分たちの音を模索し、磨き上げることもできた。
EP『FIVE FLESH』について「名盤ができた」と改めて観客に語った笠原。
そのNorthern19の今、自信があるのはもちろんだが、バンドとしてフィジカルにも思考的にもしなやかに可動域を広げていることを伝えるのが新たなEPであり、このツアーだろう。ここに続いたのは、EPの中で異色のポップでオルタナティヴな雰囲気を放っている「DRAMATIC」。セットリストでのいいアクセントになっているが、ここに続いた2023年リリースの「INSOMNIAC」の抒情性・物語性のあるサウンドともいいグラデーションを生んでいて、彩りのある流れを作っている。
「THE NIGHT WITHOUT A STAR」で大きなシンガロングが起こり、泣き笑いのような表情を見せる観客や熱量の高いフロアを見渡して、「最高だよね。こういうのをやりたくて、ずっとバンドをやってます」(笠原)と言う。前回のWWW X公演はコロナ禍で椅子が並んだ状態だったことを振り返りながら、「くじけないでよかったです」(敦賀)と付け加えた。コロナ禍もそうだが、バンド自体も2019年にメンバー脱退し、敦賀が加入して新たな体制にもなった。笠原は、「周りにいる人のおかげで、やめるという選択肢はなかった」と語った。新作を引っ提げてのツアーだが、ここまでに全曲披露ツアーを行なったり、今回のツアーが長く同時代を歩んできた仲間や先輩をゲストに迎えたことで胸に去来するものも多かったのだろう。ややセンチメンタルな空気も入り混じったMCではあったが、「今日でツアーは終わるけど、いろんなところでライブをしているので、会いにきてください」(笠原)と力強く締めくくった。
そして「NEVER ENDING STORY」から続いた終盤は、たっぷりと息を吸い込んで一気にスパートをかけていった。
ドライブ感のあるギターリフでスピードを上げる「TRUTH」、「MESSAGE」ではイントロで笠原と敦賀が観客を煽るようにステージ前へと躍り出る。フロアはもみくちゃだ。そして、会場限定盤『CELL』(2024年)に収録しライブで叩き上げている「FAITH」に続いたのは、EP『FIVE FLESH』を締めくくる「EVERGREEN」だ。約2分のショートチューン。削ぎ落とされたシンプルさの中に、Northern19が奏でる音楽 of エネルギーや、バンドやライブのまばゆい魅力が詰まっている。観客と一体となったシンガロングが、甘美な余韻を響かせる。またライブへと、足を運びたくなる曲だ。
この日2度のアンコールに応え、前述のdustboxのカバー曲「Right Now」等も披露した『FIVE FLESH tour』ファイナル。
ツアーとしては一旦ここで丸をつけるが、名盤『FIVE FLESH』の曲はここからも大事に披露され、さらにアップデートしたライブバージョンへと進化していくのも楽しみにしたい。
<公演概要>
Northern19『FIVE FLESH release tour TOUR FINAL』
6月26日 東京・渋谷WWWX
with dustbox