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GRAPEVINE『SOMETHING SPECIAL 2026』柴田聡子との共演、刺激し合う両者が起こした化学反応がとてつもない音楽時間を作り上げた東京公演をレポート

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GRAPEVINE『SOMETHING SPECIAL 2026』柴田聡子との共演、刺激し合う両者が起こした化学反応がとてつもない音楽時間を作り上げた東京公演をレポート

Photo:藤井拓



Text:兵庫慎司Photo:藤井拓
2026年1月23日東京・恵比寿リキッドルームにてGRAPEVINEプレゼンツの『SOMETHING SPECIAL 2026』が開催された。
これは、GRAPEVINEが不定期に行ってきたツアーで、ジャンルの近似性や自分たちとの関係性を度外視して、音楽的に刺激を与えてくれるアーティストと一緒にライブをやりたい、という趣旨、なのだと思う。過去の開催では、Suchmos、中村佳穂、Schroeder-Headz、ZION等と共演している。
今回は、1月11日名古屋ダイアモンドホール、15日大阪BIGCAT、23日恵比寿リキッドルームの3本で、名古屋=MONO NO AWARE、大阪=LOSTAGE、東京=柴田聡子(BAND SET)と、3都市で対バンした。

柴田聡子(BAND SET)

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というわけで、この日、先にステージに上がったのは、柴田聡子(BAND SET)。長きにわたって音楽業界や同業者などから「この人はすごい!」と一目置かれている存在であり、熱心なファンを中心に支持され続けてきた音楽家&詩人だが、アルバム『Your Favorite Things』が2025年『CDショップ大賞』〈赤〉を受賞したり、2025年10月期のテレビ東京のドラマ『シナントロープ』に主題歌を柴田聡子&Elle Teresaとして「ときめき探偵(feat. Le Makeup)」を提供したりと、最近、さらに広い範囲から注目が集まる機会が増えている。
3月28日(土)には、ここリキッドルームで、その『ときめき探偵』のフィーチャリング・アーティスト2組と共演するライブ『柴田聡子 presents 「ありがとう」vol.3』の開催も決まっている。

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なお、今日も、3月28日も、クレジットに(BAND SET)と付いている、ということは、そうではない形態でのライブも行っているということだ。
(BAND SET)の場合は、岡田拓郎(ギター)、まきやまはる菜(ベース)、浜公氣(ドラム)、谷口雄(キーボード)、そして本人、という編成になる。その5人で、この日は11曲をプレイした。

ステージのいちばん右にあるキーボードを弾きながら歌う(谷口雄もその横で弾く)、『Your Favorite Things』の1曲目「Movie Light」でスタート。歌い終えてギターを抱えると、「はじめまして、こんばんは、柴田聡子と申します。今日はお招きいただきほんとにありがとうございます。よろしくお願いします」と簡潔に挨拶し、次の「ぼくめつ」に入る。
続く「サイレント・ホーリー・マッドネス・オールナイト」と「Reebok」は、ハンドマイクで歌唱し、「南国調絨毯」は、またギターを弾きながら──というふうに、自身の役割を変えながらパフォーマンスしていく。

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唯一曲名を紹介した「リスが来た」と、ドラムのカウントなしでそれぞれが呼吸を合わせてイントロに入った「白い椅子」、「サンキュー! まだまだ行きましょう!」という言葉からドラムのイントロが響いた「Synergy」の中盤3曲が、特に白眉だと思った。
音響系でもシティ・ポップでもフォークでもないし、R&Bでもソウルでもサイケでもない、でも同時にその全部でもあるような、柴田聡子(BAND SET)の真骨頂だったように感じられて。
軽やかでダンサブルな曲調で、超満員のフロアを揺らした「Side Step」、頭から最後まで必殺の一行だけでできているみたいなリリックがメロディに乗る「雑感」を経て、ラストは聴き手を徐々に解放していくような曲展開の「Your Favorite Things」。
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「今日はGRAPEVINEのみなさんにお招きいただき、本当に光栄でした。このあと、楽しみですね! 燃え尽きましょう。それでは、私たちは最後の曲です」
ラストの「Your Favorite Things」曲を歌う前に、はさんだこの挨拶と、1曲目の「Movie Light」を終えての挨拶、それから4曲目「Reebok」を歌う前に叫んだ「元気ですか!」、以上の三回が、この日、「ありがとうございます!」と「サンキュー!」以外で、柴田聡子が発したMCのすべてだった。
「Your Favorite Things」を終えて去る前に、彼女はメンバーをひとりずつ紹介した。そこには、FOH(サウンド・エンジニア)のDUB MASTER Xも入っていた。

GRAPEVINE

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GRAPEVINEは、本編は2025年5月リリースの最新アルバム『あのみちから遠くはなれて(以下アミーチー)』から4曲、それ以外から5曲、プラスでアンコール2曲、というセットリスト。

「それ以外から5曲」は、5曲目に演奏した「NOS」(2009年)と、ラストの「光について」(1999年)以外は、新しめ=ここ10年前後の楽曲からだった。「光について」もそうだが、最近よくライブで演奏している中からの選曲である。ちょっと久々だったのは、2年ぶりの「NOS」ぐらいか。

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「2026年、一発目の江戸でございます! 今日もひとつよろしくお願いいたします」と田中和将が挨拶し、亀井亨のドラムからの「EVIL EYE」でスタートする。しれっと淡々とライブを始めることもあるGRAPEVINEだが、この日は頭からテンションが高くてすごい勢い。しれっと淡々とライブを観ていることもあるオーディエンスも、最初から腕を振り上げたり歓声を飛ばしたりして、それに応える。と思うと、2曲目に亀井メロディ全開の「わすれもの」を持ってきて、オーディエンスをうっとりと浸らせたりもする。

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名古屋、大阪、東京で共演した3組が本当に三者三様で、音楽性、音作り、アプローチのしかた、すべてが違って、非常に刺激を受けたし、勉強になった──という田中のMCをはさんで、亀井がドラムロールを始めるや否や、フロアの全員が「来たっ!」という表情になり、また歓声が上がる。
「ねずみ浄土」だ。なんというか、絶妙な曲の並べ方である。
なお、曲に入る前に田中は「みなさんいいお正月をすごされましたか? お餅、食べましたか?」という、この時期にしかできない振りをちゃんと入れていた(この曲、「お餅は搗けましたか」というラインがあるので)。次の「The Long Bright Dark」の冒頭では、高野勲のキーボードをバックに、田中が見事な長尺スキャットを聴かせ、続く「NOS」は、田中のブルース・ギター独奏(アコースティック・ギター+ボトルネック)で始まった。と、この2曲では、R&Bとブルース、GRAPEVINEのルーツのうちのふたつを、前面に出してパフォーマンスしていく。

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「おかげさまで今年でメジャー・デビュー29周年、ニクのGRAPEVINEでございます。ニークー!」
という田中の叫びを経ての後半は、「ドスとF」「猫行灯」「天使ちゃん」と、『アミーチー』収録曲の固め撃ち。どの曲も、音源以上に、そしてあのアルバムのリリース・ツアーの時以上に、猛々しく鳴らされ、自由に歌われているような印象。
イントロが始まった瞬間と、曲が終わった瞬間の歓声が、1曲ごとに大きくなっていく。

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ラスト前の「天使ちゃん」で、それはピークを迎えた……というか、「猫行灯」を歌い終えた田中が、ギターを置いてハープを手に取った段階で、「天使ちゃん」だと察して歓声が上がり、曲が始まるとフロアが大きくうねり始める。今こんな曲を生み出すことができて、それをライブの場で音源以上の威力で再現できるバンドも、それを熱狂的に受け止めるオーディエンスも、ほかのどこにもいないと思う。
そんな異様で幸福な空気が、次の「光について」で、やや平常寄りの幸福な空気に変わって、本編が終わった。

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アンコールは、「In The Bad,Bad Old Days(Before You Loved Me)」と、「Soul Foundation」の2曲。前者は、1960年代の英国のソウル・バンド、The Foundationsの曲のカバー。後者は、GRAPEVINEが大阪時代にインディ・リリースした3作のうちの2作目、Cynical Clumpとのスプリット盤『Hybrid Soup』(1996年)からの曲で、始まった瞬間のフロアの歓声は、ここまで以上に、すさまじいものがあった。

なお、この2曲をやる前に、田中、「金戸さんから重大なお知らせが」。
ベース金戸覚、ポスターを持ちながら、今日のライブが3月26日(木)22時からスペースシャワーTVで独占放送されることと、3月〜5月に行うホール・ツアーの東京に追加公演が出たことを告知する。
完売した4月28日(火)LINE CUBE SHIBUYAの翌日=4月29日(水・祝)、場所は同じくLINE CUBE SHIBUYA、とのこと。
金戸、「本日、これを買うまでみなさん外に出れませんので」と、最前列のお客にチケット申し込みのQRコードが入ったポスターを渡し、「これ、回してください」。
みんな、笑いつつ、ちゃんとポスターを回覧して行くが、そのさまを見ながら金戸、田中に「このくだり、いつまでやるんですか?」。田中「今日で終わりです」。
名古屋と大阪でも同じことをやってきたようです。確かに、本来あんまり、サポートメンバーにやってもらうべきことではない。
その追加公演を含む『GRAPEVINE SPRING TOUR』は、3月28日(土)NHK大阪ホールで始まり、福岡・東京・名古屋を回って、5月10日(日)日立システムホール仙台シアターで終わる全6本。


<公演概要>
『SOMETHING SPECIAL 2026』
1月23日東京・恵比寿LIQUIDROOM
出演:GRAPEVINE / 柴田聡子(BAND SET)

柴田聡子(BAND SET) / Set list 01. Movie Light 02. ぼくめつ
03. サイレント・ホーリー・マッドネス・オールナイト 04. Reebok 05. 南国調絨毯 06. リスが来た 07. 白い椅子 08. Synergy 09. Side Step 10. 雑感 11. Your Favorite Things

GRAPEVINE / Set list 01. EVIL EYE 02. わすれもの
03. ねずみ浄土 04. The Long Bright Dark 05. NOS 06. ドスとF 07. 猫行灯
08. 天使ちゃん 09. 光について
Encore 01. In The Bad, Bad Old Days (The Foundations COVER) 02. Soul Foundation 『GRAPEVINE SPRING TOUR』
3月28日(土) 大阪・NHK大阪ホール
4月11日(土) 福岡・福岡市民ホール 中ホール
4月28日(火) 東京・LINE CUBE SHIBUYA※SOLD OUT 4月29日(水・祝) 東京・LINE CUBE SHIBUYA※追加公演 5月5日(火) 名古屋・Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
5月10日(日) 仙台・日立システムズホール仙台シアター※SOLD OUT ◼︎チケットはこちら https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=11010655(https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=11010655&afid=P66) GRAPEVINE オフィシャルサイト https://www.grapevineonline.jp/ 柴田聡子 presents『ありがとう』vol.3 3月28日(土) 東京・恵比寿リキッドルーム 出演:柴田聡子(BAND SET) × Elle Teresa × Le Makeup ◼︎チケットはこちら https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=CC030001(https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=CC030001&afid=P66) 柴田聡子 オフィシャルサイト https://shibatasatoko.com/

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