中止公演が待望の復活! 藤田俊太郎演出のミュージカル『VIOLET』が開幕
撮影:花井智子
梅田芸術劇場×英国チャリングクロス劇場の日英共同プロジェクト第一弾として大きな注目を集めながら、予定されていた4月公演がコロナ禍によりすべて中止となった『VIOLET』。幻となりかけていた本作が9月4日(金)~6日(日)、一部内容を変更して上演される運びとなり、2日に公開舞台稽古が行われた。劇場に入るとまず目に入るのは、最初から3日間だけの公演だったら決してここまでは建て込まれなかったであろう、クリエイティヴィティあふれる舞台セット。4月公演が準備万端整ったなかでの中止だったことが窺われ、関係者一同の当時の無念さと、こうして日の目を見た今の思いを想像するだけで胸が熱くなる。
そんななかで始まった舞台もセット同様、4月公演に向け、そしてこの度の復活上演に向け、丹念に稽古が重ねられてきたことが伝わるもの。廻り舞台が駆使され、役者も小道具もいつの間にか出てきてはハケていくような藤田俊太郎の演出は、一歩間違えればこちらの集中力を削ぎかねない。だがキャストの流れるような動きが、顔に傷を持つヴァイオレットがあらゆる傷を癒すと噂の伝道師に会いに行く決意をし、長距離バスで旅をするなかで多様な人々と価値観に出会う——という展開の速い物語をシームレスに進行していく。