2021年9月30日 12:00
ライブ・アルバムへの思いを語る 植山けい(チェンバロ)
コロナ禍の最中、2021年6月11日に東京オペラシティ近江楽堂で行われた植山けい(チェンバロ)のリサイタルは、音楽のある生活の意味や潤いを、改めて認識させてくれる素敵な時間だったことが思いだされる。
このリサイタルのライブ・アルバムが早くも登場したことは僥倖だ。当日演奏されたプログラムの中から、デュフリ、スカルラッティ、J.S.バッハの作品をコンパクトにセレクトした内容は、フランス・コルマール、ウンターリンデン博物館に所蔵されているJ.ルッカ―ス製の名器と同じモデルによる美しい響きと相まって、チェンバロの素晴らしさを改めて認識させてくれる。アルバム発売に際し、植山けい本人からのメッセージが届いたので紹介しておきたい。
●アルバムに寄せて
このライブアルバムは偶然が作り出した産物と言っても良いかも知れません。当初2020年6月に公演予定だったところが、コロナ渦となり1年延期。世界中が揺らぐ事態となる中で、今まで当たり前に開催されていたコンサートがなくなり、聴衆との接点がなくなってしまいました。まさに失ってから理解するありがたみです。音楽家の役目とはなにか、今しかできないことは何かを考える中で、バッハやデュフリ、スカルラッティと対話する日々が続きました。