【ライブレポート】3年ぶりのWiennersツーマンイベント 切磋琢磨、相乗効果で最高沸点となったリキッドファイナル公演
(Photo:かい)
2021年12月に楽曲リクエストを募った企画的なライブを行ったWienners。そこでも、2022年はいろいろ仕込んでいるという嬉しいお知らせがあった。その第一弾として、Wiennersのツーマンイベント『BATTLE AND UNITY TOUR 2022』が3年ぶりに帰って来た。彼らが対バンがいるツアーを行うのは2年半ぶりで、そのファイナル公演が恵比寿LIQUIDROOMで行われた。
今日の対バン相手は、オメでたい頭でなにより。「乾杯トゥモロー」で幕を開けると、フレンドリーなメロディで観客を取り込み、オープニング曲にピッタリの祝祭サウンドで場を盛り上げる。「あれこれそれどれ」、「哀紫電一閃」とポップ&ヘヴィな音像を畳み掛けた後、Wiennersとは初の対バンであることにも触れ、「BATTLE AND UNITY、俺らとあんたらの闘いでもあるんだ!」と煽る赤飯(Vo)。
「推しごとメモリアル」に入ると、フロアはヘドバンに励む人たちで溢れ、荒ぶるシャウトからスイートな女声を炸裂させる赤飯の歌声に翻弄されっぱなしだ。
場内には赤、緑、黄色とペンラントを掲げる観客もちらほらいて、バンドの枠組みを超えたキュートな魅力を猛アピール。途中でWiennersのアサミサエ(Vo/Key/Sampler)が飛び入りし、エアギターを披露する場面もあった。さらに、とんねるずの大ヒット曲「ガラガラヘビがやってくる」のカバーもここで炸裂。
「ダルマさんは転ばないっ」に移ると、演奏途中でWiennersの「FAR EAST DISCO」のカバーを挟む離れ業も魅せ、ツーマンらしいスペシャルな演出に会場も大フィーバー。ラスト曲「オメでたい頭でなにより」まで、エンターテイメント性に長けたパフォーマンスで耳目を釘付けにした。
それを受けて、アサミサエ(Vo/Key/Sampler)、∴560∵(B/Cho)、KOZO(Ds)、シャドー・ボクシングでパンチを繰り出す玉屋2060%(Vo/G)のメンバー4人が颯爽と登場。Wiennersは「恋のバングラビート」でショウをスタートした。玉屋とアサミサエの男女掛け合いボーカルに加え、先日リリースされたリミックスアルバム『Wiemixes』に登場するMC Maharajaを∴560∵が早口で捲し立てて完全再現するなど、キャラ立ち抜群の曲調で先制パンチ。
瞬時に、ここではないどこかへと観客を誘う魔法の絨毯サウンドに気分は高揚するばかり。それからファンな空気満載の「ULTRA JOY」を経て、コロナ禍でなければ大合唱必至であろう、アッパーな「YA!YA!YA!」で会場の温度をさらに押し上げていった。
ポップなシンセを導入した「THE BATTLE」を経て、「ELECTRIC FOR YOU」、「ANIMALS」とやり終え、次の「ASTRO BOY」(Black Hole ver.)では玉屋とアサミサエがクールなラップを披露。こうした自由度の高さもWiennersの魅力の一つであり、ショウの変化球として上手く機能していた。
「思ったより熱い闘い、対バン最高!」と玉屋が興奮気味に言うと、オメでたい頭でなによりがカバーした「FAR EAST DISCO」に対して、「私よりかわいかった」とアサミサエ。また、「ELECTRIC FOR YOU」に関しては、前回リクエストを募ったときに0票だったために、あえてセットリストに入れたことを∴560∵がネタバラシしていた。
「GOD SAVE THE MUSIC」、「NOW OR NEVER」とオモチャ箱をひっくり返しようなパンキッシュなナンバーを連発し、「迷宮の館に迷う準備はできてますか?」と呼びかけると、「FACTION」へ。観客を一人残らず踊らせると、ラストスパートは「起死回生」、「蒼天ディライト」と解き放ち、底なしのパーティー空間を作り上げて本編を締め括った。
アンコールで再びメンバーが現れると、「無事にファイナル終わった」(玉屋)、「3カ所、めちゃくちゃ楽しかった!」(∴560∵)、「バンド力を感じたツアーでした」(アサミサエ)、「ありがとうございました!」(KOZO)と、メンバー4人も今回のツーマンイベントに大きな手応えを感じている様子だった。そして、極彩色のパンクを叩きつける「TRADITIONAL」を演奏後、オメでたい頭でなによりがサプライズでカバーしてくれたことを受けて、急遽決めた赤飯へのドッキリを敢行。赤飯を招いて本日2回目の「FAR EAST DISCO」を披露した。
その流れで「UNITY」でも親密コラボを果たし、ツアー名通りの団結力で会場を沸かしていた。やはり対バンの面白さはお互いに切磋琢磨し合うことで、予想を遥かに超えた相乗効果が生まれる点だろう。両者のスパークぶりで、最高到達点を記録した記念すべきツーマンイベントとなった。
なお、Wiennersは、和テイスト満載の“日本”をテーマに掲げたコンセプト・ツアー『春雷行脚』を5月に決行。2021年10、11月に開催した、現実と妄想の狭間=FACTION(FACT+FICTION)をコンセプトにしたツアーも大好評を博したゆえ、こちらも楽しみでならない。
今年も攻めの姿勢を貫き、観るたびにライブ力をグングンと高めているWiennersから目が離せない。
Text:荒金良介Photo:かい
<公演情報>
Wienners『BATTLE AND UNITY TOUR 2022』
3月17日(木) 恵比寿LIQUIDROOM