w.o.d.の自主企画ライブ『TOUCH THE PINK MOON』GLIM SPANKY、MONO NO AWAREを迎えた、ピンクに染まった大阪の夜をレポート
Text:早川加奈子Photo:小杉歩
4月18日、大阪・ゴリラホールにて、w.o.d.の自主企画ライブ『TOUCH THE PINK MOON』大阪公演が開催された。
「フードもあるし、フェスやん」会場に向かう道中、SNSでそんな投稿を見かけた。w.o.d.がこの日に競演する相手は、GLIM SPANKYとMONO NO AWARE。ステージ転換時には、DAWA(FLAKE RECORDS)、板東さえか(FM802 DJ)、w.o.d.のベーシスト・Ken MackayがDJを行うという。
会場に到着するとSNSのつぶやき通り、メンバー考案のメニュー(パッタイ)も味わえるフードトラックが目に飛び込んできた。カセットテープでのDJによるナイスなトラックが流れる会場ロビーには、w.o.d.自身が選んだ香り「Smells Like PINK MOON Spirit」がほんのりと漂い、撮影スポットがあったり、パンキッシュな映像が流れるテレビモニターの数々が積み上げられている。
ゴリラホールの新たなアイコン「ゴリラのソファ」がある2階に上がると、カメラマンの小杉歩が撮影したw.o.d.の写真の数々や、YUGO.によるシルクスクリーンのブース、世界一に輝いたクラフトジンを輩出したMAWSIMとw.o.d.のコラボカクテル「PINK MOON ジントニック」が味わえるコーナーが設置されている。ファッションとアートと食と音楽の空間が広がっており、w.o.d.が発信するロックンロールカルチャーのフェス、といえそうだ。
◼︎呼んでもらってうれしいですし、ぶち上げるしかない
ピンク色の月のバルーンの下、この日最初にステージに登場したのはMONO NO AWAREだ。ハウリングノイズを轟かせ始まった「異邦人」「のびしろ」「幽霊船」まで一気に突っ走り、次々と表情を変える圧倒的なリズムとギターアンサンブルでたちまち観客の心を異空間へと誘っていく。「w.o.d.とは去年大阪のイベントで一緒になって、カッコいいなと思っていたので、呼んでもらってうれしいです」
さっきまでの比類ない世界観を作り出す歌声とは裏腹に、朴訥(ぼくとつ)としたMCを披露する玉置周啓(vo,g)。その時、フロアで観客が何かを落とす音が響くと、「(PINK MOONとかけて)月のかけらを落としたんですか?」と、さりげなく今日のイベントへの敬意をこめて玉置がつぶやくと、フロアから大きな拍手と笑い声があがる。
「PINK MOONの下で一体感のある……ぶち上げていくしかないですね」
そんな玉置の声を合図に、4人が作り出す強烈なグルーヴが再びフロアを飲み込んでいく。色鮮やかにうねるグルーヴの上、ありふれた日常の小さな嫌悪が恐ろしいほどレイヤードされていく「同釜」で迎えた怒涛のクライマックスに、場内からすさまじい歓声が上がった。
◼︎KenのDJタイムに鳴り響いた、BOOM BOOM SATELLITES
転換時、Ken MackayのDJタイムが始まると、スマホを構えた観客たちが笑顔でリズムに乗って身体を揺らす。今回のイベントでは全ステージの撮影もSNSへの投稿も可能なのだ。
フー・ファイターズ、ステレオフォニックスといったオルタナロックやブリティッシュロックが続く中、BOOM BOOM SATELLITESの「Kick It Out」がKenによるロックなミックスで鳴り響く。w.o.d.の「My Generation」のプロデューサー、中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES/THE SPELLBOUND)へのオマージュにフロアも大熱狂だ。
◼︎音楽愛と遊び心あるカルチャーのパーティー
「今日のパーティーを楽しみにしてきました。カルチャーのお祭りで楽しいね」「Fighter」「大天使」「怒りをくれよ」と、エモーショナルな歌と熱いロックグルーヴを連発した後、ベルスリーブのミニワンピ姿で登場したGLIM SPANKYの松尾レミ(vo,g)が楽しそうに言う。「w.o.d.がデビューした頃から知り合いで。彼らの音楽愛と遊び心が本当に素晴らしいし、今日のイベントにも表れてるよね」GLIM SPANKY自身、音楽とファッションに対する多大な愛を根幹に持つバンドだからこその称賛の言葉に、場内から惜しみない歓声と拍手が湧き起こる。「こんな素敵なカルチャーのパーティーが出来ることが素晴らしい。呼んでくれてうれしいし、長く続けてほしい」という松尾レミの言葉に、亀本寛貴(g)も深く頷く。
最後に披露された決意と焦燥のブルージィなロックチューン「大人になったら」が盟友バンドへの激励のように響く。
◼︎後頭部でギターを弾くのって、どう思う?
再びのDJタイムを挟み、大阪の夜のトリを務めるのはもちろん、本日の主宰・w.o.d.だ。
オープニングを告げる「TOKYO CALLING」を皮切りに、「Kill your idols,Kiss me baby」→ファン垂涎のキラーチューン「1994」→「YOLO」と立て続けにアグレッシブなアッパーチューンを連発。ステージの上もフロアも、共にすでにワンマンライブのクライマックスのような熱量だ。「頭打ったわ。練習が足りなかったわ。ここ(後頭部)で弾くの、どう思う?」仲間や観客に話しかけるようなゴキゲンなナンバー「Take It Easy」を、後頭部(背中側の肩の上)に乗せて後ろ手にギターを弾くスタイルで披露した後、サイトウタクヤ(vo,g)が楽しそうにそうつぶやく。
◼︎「また遊ぼうぜ」
サイトウのMCでリラックスした後は、中島元良(ds)の圧倒的な人力ドラムロール×Ken Mackay(b)のグルーヴが炸裂する「THE CHAIR」で再びフロアを熱狂の坩堝を化していく。
さらにヒリヒリとしたロックンロールチューン「丸い心理を蹴り上げて、マリー。」を続けて披露し、エネルギー全開で突っ走る。
演奏後、放心状態で息を整える元良に、「元良くんがしんどそうで、俺もKenくんもしんどいって言えへん(笑)」とサイトウとKenが笑う。和やかなムードの中、今回の自主企画ライブを共に盛り上げた仲間(写真やフード、写真やカクテルなど)やスタッフ、そして観客たちにサイトウが感謝を述べた後、SPARK!!SOUND!!SHOW!!のタクマ、nerdwitchkomugichan(Age Factory・西口直人)、SATOHらが手がけたリミックスバージョンでも話題の新曲「NON-FICTION」を披露。
最高潮に盛り上がるオーディエンスに向けて、「モーニング・グローリー」→「踊る阿呆に見る阿呆」と最強のダンスロックチューンを続けた後、サイトウが笑顔で告げる。
「また遊ぼうぜ」この夜最後に披露されたのは、歪んだベースリフとビートの波に乗り、<この先へ行こうぜ>と宣言する「My Generation」。ジャンルを超えて共闘できる仲間たちと共に、w.o.d.はこれからも自分たちのロックンロールカルチャーを切り開いていく。
<公演概要>
w.o.d.『TOUCHI THE PINK MOON』
4月18日大阪・GORILLA HALL OSAKA
LINE UP:w.o.d. / GLIM SPANKY/ MONO NO AWARE
DJ:DAWA(FLAKE RECORDS) / 板東さえか(FM802 DJ) / Ken Mackay(w.o.d.)