『ほんとうのハウンド警部』山崎一×吉原光夫×鈴木浩介インタビュー
僕は「すいません」が口癖なので、真逆の人間だなって(笑)。色んなタイプの演出家さんがいらっしゃいますが、小川さんはそれぞれの作品を見るたびに「あ、これ小川さんだったんだ」って驚かされる。色んな色に“化ける”演出家ですね。
鈴木浩介
――脚本の解釈という点で、稽古場で驚かされたりした部分はありましたか?
吉原僕ら俳優が脚本を読んで感じたものを絵梨ちゃんが色付けし、カギかっこをつけて読み聞かせてくれたなという感じがしますね。何となく自分たちが思い描いたものが咀嚼できたって感覚です。浩介さんがいまおっしゃった通り「小川絵梨子の演出のテイスト」って実はあんまりないような気がしていて、それはなぜかというと「物語を伝える」ということが先に立つんですよ。僕自身、(小川に)ずっとコーチングされてきたのは、話がわからなくなるということをしないということ。物語を伝えるってことに命を懸けているから。
例えば蜷川(幸雄)さんだったら、どんな作品であっても“蜷川テイスト”というものがあるし、なんだったら目隠しして入って、舞台装置を見ただけで「これ蜷川さんだ」ってわかっちゃう。(小川は)そうじゃなくて、自分の色は二の次なんだろうなって思います。