緊迫感あふれる映画の“唯一の癒し”に。女優・南沙良、18歳の今
撮影:源賀津己
夕陽に照らされながら、少しうつむきがちにスクーターの後ろの席に腰を掛け、運転席の少年の腰に軽く手を回す姿がなんとも切ない。
多くの映画で青春の1ページの代名詞として描かれてきた“ふたり乗り”だが、この映画において、こうした青春の描写の美しさは、その後、主人公が歩む運命の過酷さを際立たせる。後ろの席に座る少女は南沙良。映画『太陽は動かない』(3月5日公開)において、主人公の敏腕エージェント・鷹野(藤原竜也)の高校時代の島での生活を描いた回想シーンで、甘酸っぱい初恋の相手である詩織を演じている。
『太陽は動かない』(c)吉田修一/幻冬舎 (c)2020「太陽は動かない」製作委員会
吉田修一の同名小説を原作に、心臓に爆弾を埋め込まれた主人公が秘密組織のエージェントとして世界各国を駆け回る様を描くノンストップ・サスペンスだが、映画では鷹野の高校時代を描いた別の小説『森は知っている』も取り込み、ひとつの映画に仕上げている。
「最初にお話をいただいたときに原作の2冊の小説を読んだのですが、これをひとつの映画にするってどういう感じになるんだろう?と撮影に入るのが楽しみでした」