「大島渚賞」第1回受賞者の小田香、坂本龍一&黒沢清と対談
自主映画の祭典「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」が新たに設立した映画賞「大島渚賞」の記念上映会が3月20日、東京・千代田区の丸ビルホールで行われ、同賞第1回受賞者である小田香監督の最新作『セノーテ』が上映された。
『ニーチェの馬』『サタンタンゴ』で名高いハンガリーの巨匠タル・ベーラが指揮した若手映画作家育成プログラムに参加した“愛弟子”である小田監督が、最新作の題材に選んだのはメキシコ・ユカタン半島の北部に点在し、セノーテと呼ばれる洞窟内の泉。現世と黄泉を結ぶと信じられていたセノーテでは、かつて雨乞いの儀式のために人々が生贄として捧げられていた。小田監督が自らダイビングを学び、セノーテをめぐる歴史と記憶が交差する神秘の水源を撮影した。
上映後には小田監督、「大島渚賞」の審査員長を務める音楽家の坂本龍一、審査にあたった黒沢清監督が、荒木啓子(PFFディレクター)の進行でトークショーを実施。坂本は初長編作品『鉱 ARAGANE』で炭鉱に、本作で泉に“潜る”小田監督の作風に興味を示し、「次は空には?」と話題を振ると、小田監督は「お金次第ですが、宇宙から地球を撮りたい」と構想を語った。