くらし情報『誰も観たことがない新しい世界 ゲームと歌舞伎の幸せな出合い『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』オフィシャルレポート』

2023年3月24日 18:10

誰も観たことがない新しい世界 ゲームと歌舞伎の幸せな出合い『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』オフィシャルレポート

実はこれ、歌舞伎の『お祭り』という演目で鳶頭が言う有名なセリフ。客席の「待ってました!」の声(気持ち)に応える、いわばテッパンのやりとりだ。ティーダは続けて七五調での「名乗り」をし、最後は「ティーダたぁ、俺がことッス!」で締めくくる。これも『弁天小僧』のクライマックスのセリフ「弁天小僧菊之助たぁ、俺がことだ」から。これだけで、ティーダが華やかな主役であることが分かるし、『弁天小僧』は音羽屋(菊之助の屋号)の代表的な芸なので、菊之助が率いる本作にもピッタリ。「ティーダ」(ゲーム)と「菊之助」(歌舞伎)、どちらの視点からでも楽しめる仕掛けなのだ。

誰も観たことがない新しい世界 ゲームと歌舞伎の幸せな出合い『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』オフィシャルレポート

ティーダ役 尾上菊之助
そんなふうにして、本作には原作ゲームの魅力のほかに、歌舞伎の表現方法の面白さがたっぷり盛り込まれている。登場人物それぞれの「名乗り」や、軍兵たちが前転宙返りをする「トンボ」を切る立廻りをはじめ、女方たちの美しく見事な「海老反り」、『土蜘』のイメージで糸状のものをシュッと投げる「千筋の糸」、仏像が倒れるように手を使わず直立したまま倒れる「仏倒れ」。
さらに一瞬で衣裳の表面が変わり、役自体の隠された内面もあらわになる「ぶっ返り」

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