iaku『あつい胸さわぎ』に横山拓也が込めたものとは
軽妙な会話のやりとりの中にいまの社会が透けてみえる。そんな物語を紡ぐ関西出身の劇団、iaku。新作『あつい胸さわぎ』が、9月13日から東京・こまばアゴラ劇場で上演される。iakuの主宰であり、脚本・演出の横山拓也に話を聞いた。
新作は久々に全編関西弁で、いつにも増してテンポよくカラッとした会話が繰り広げられる。「今回は意識的に関西出身の役者さん中心に集まってもらいました。関西の地域性、彼らの培ってきた明るさと、そんな人たちがシビアな問題にどう立ち向かうのかという部分が出せたらなと思っています」。
題材として取り上げるのが、AYA世代と呼ばれる若年世代の乳がん。
「わかりやすいので“乳がんを扱う”部分が注目されますが、いつも複合的なものを描きたいと思っています。いつも変わらない日常の中で、がんに出会った登場人物はどんな態度をとるのか、生活がどう変化するのか。むしろ描きたいのはそのときの人間の振る舞いなんです。それともうひとつ、恋愛が難しくなっている現代の、親世代と子世代それぞれの恋愛も描きたいなと考えています」。
iakuでは、横山の脚本を演出家の上田一軒が手がけることが多いが、今作では横山が演出、上田はドラマトゥルク(脚本に関するリサーチ、あるいはアドバイスなどを行う役割)