【対談:岸谷香×荻野目洋子 前編】その日できることのベストをできたら御の字だなって思えるようになった
主人がそう仕向けてくれて。
岸谷うちでも、再結成の時には、家族にお伺いを立てました。「おかあさんは昔、PRINCESS PRINCESSというバンドをやっていたことがあってね」って、子供にゼロから話したんですよ。「あなたたちが自分のことを自分でやってくれないと、いろいろ大変なんだよね。やってもいいかな?」って。その時に夫に、「自分が困らなきゃいいけど、子供のこともある、仕事もある、ライブもある。テンパらずにできるの?」って言われました。母親とミュージシャンを両立するのは簡単ではないですよね。
荻野目ほんっとに、そうです。
――お互いにそういう状況があっても、音楽活動のペースを確立されてきたんですよね。
荻野目私はようやくこの何年間かで、自然体で音楽ができるようになってきたので、続けられるようになったんだと思います。
岸谷私も同じですね。以前はライブもレコーディングも120%の力を出さないと、やり切った感がなくて、とくにライブは“すごく良くないとダメ”という気持ちでやっていたんですね。でも今は肩の力が抜けてきたところがあって、完璧なんてもともとあり得ないのだから、その日できることのベストをできたら御の字だなって思えるようになってきました。