山田孝之・仲野太賀W主演『十一人の賊軍』──砦を守るのは札付きの悪党たち!【おとなの映画ガイド】
東映には、ろくでなしの主人公が活躍する物語で一時代を築いてきた歴史があるじゃないか、というわけだ。
この作品には、そんな、まるで“プロジェクトX”みたいなインサイドストーリーがあるし、そこここに、映画マニアを興奮させる材料があふれている。
時は江戸幕府から明治政府へと政権が移り変わる激動期の1868年、徳川慶喜を擁する旧幕府軍と、薩摩・長州藩を中心とした新政府軍(官軍)の間で勃発した戊辰戦争の真っ最中。
両軍に挟まれ、窮地に陥った新発田藩の家老溝口内匠(阿部サダヲ)が、藩の命運をかけて打った作戦、それは、山縣狂介(玉木宏)率いる官軍の進撃を藩の“砦”で食い止める、というものだった。
そのために集められた決死隊は、なんと10人の罪人。殺人、賭博、放火、密航、姦通など、当時の法律で死罪が確定した者ばかりだ。「勝利すれば無罪放免」という条件で出兵してきた彼らにとって、これはまさに生き残りを賭けた戦い。
映画ファンならずとも、幕末の歴史好きは、新発田藩を含む31藩で結成された旧幕府側の「奥羽越列藩同盟」と官軍との熾烈な戦いのなかで起きた「新発田藩の寝返り」という戊辰戦争の秘話にきっと興味をそそられると思う。