心安らぐ日本美術が並んだ展示室で癒やしのひとときを 特別展『癒やしの日本美術』12月2日より開催
近現代の日本画を中心とした充実したコレクションを誇る山種美術館で、12月2日(土)から2024年2月4日(日)まで、特別展『癒やしの日本美術 ―ほのぼの若冲・なごみの土牛― 』というなんともほっこりしたタイトルの展覧会が開催される。日常が大きく揺らぎ、不安定な世界情勢が続くなか、日本美術の鑑賞を通して、心の癒やしを得てもらいたいと企画された展覧会だ。
近現代の日本画コレクションで有名だが、同館は江戸絵画も所有する。今回は、伊藤若冲や長沢芦雪が描いたゆるくてかわいい作品を、個人所蔵のものも含めて展示している。素朴でのんびりとした表情が魅力的な若冲の《布袋図》(個人蔵)や、とぼけた表情の伏見人形の行列が愉快な《伏見人形図》、かわいい子犬たちがじゃれ合う姿にユーモアがあふれる芦雪の《菊花子犬図》(個人蔵)など、目にするだけで自然と笑みがこぼれてしまう作品が多い。
愛らしさでは、近代絵画も負けていない。奥村土牛の《兎》や竹内栖鳳の《鴨雛》など、日本画の巨匠たちがフワフワの小動物を描いた作品や、洋画家・小出楢重が幼い我が子をモデルにした《子供立像》などからは、対象をいとおしむ画家の愛情が伝わってくる。見た目のかわいらしさに心が和らぐとともに、温かい気持ちになれる作品群である。
そのほか、古き良き日本の自然を描いた川合玉堂の風景画や、鳥のさえずりに耳を傾ける女性の姿に心地良い音が連想される上村松園の美人画など、観る者の気持ちをリラックスさせてくれる作品も登場する。また、奥村土牛の《浄心》のように、故人となった師を偲び、仏の姿を描くことで、画家自身の心を癒やすことになったという奥深い作品もある。同展では、様々なかたちで心に安らぎをくれる日本美術が約60点並ぶ。静けさをたたえた心地のよい展示室で、ゆったりと癒やしのひとときを過ごせる展覧会となっている。
<開催情報>
特別展『癒やしの日本美術 ―ほのぼの若冲・なごみの土牛―』
会期:2023年12月2日(土)~2024年2月4日(日)
会場:山種美術館
時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜(1月8日は開館)、12月29日(金)~1月2日(火)、9日(火)
料金:一般1,400円、大高500円(冬の学割)
公式サイト:
https://www.yamatane-museum.jp/