バレエ指揮者・冨田実里、主演ダンサー木村優里が語る、はじめての『白鳥の湖』
マイムの体験や照明の体験があったりと、いろいろな工夫がある。次に『白鳥の湖』を全幕で観る時、より深く作品に入っていけると思いますし、ダンサーとしてこれをどういうふうに見せていけるか、楽しみです。
優れたバレエ音楽とは
──短時間でさまざまな要素を見せていくとなると、出演者にとっては大変な舞台になりますね。
木村王子役の男性ダンサーはハードだと思います。セリフがあったり、俳優さんと一緒にお芝居をしたり──私にも一部、マイムをしながら説明をするところがあって、今からドキドキしています(笑)。
──ご自身にとって、『白鳥の湖』はどのような作品といえますか。
木村踊れば踊るほど、新しい気づきがある作品です。考えさせられる余地がたくさんある。
小さい頃は、身体全体を使って、鳥──白鳥を表現しようというその試みに驚いていました!羽ばたきだけでなく、角度をつけた手首が白鳥の首に見えたり、腕が首のカーブになっていたり、白鳥という生き物を動きに落とし込んでいることが衝撃で。白鳥と黒鳥を同じ人物が踊らなければならないとか、テクニックや表現についても異次元のことのように思われて、憧れましたね。
冨田優れたバレエ音楽は譜面を見るだけでその情景が浮かんでくるものですが、こんな作品を書いてくれたチャイコフスキー先生には、本当にどうもありがとうと思っています。