片岡仁左衛門と坂東玉三郎、初共演の『婦系図』ほか、時代物の名作から新作まで 歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」開幕
歌舞伎座10月公演「錦秋十月大歌舞伎(きんしゅうじゅうがつおおかぶき)」が、10月2日に初日の幕を開けた。芸術の秋に相応しく、時代物の名作から新たな趣向で描かれた新作まで多彩な演目が揃った。初日公演のオフィシャルレポートをお届けする。
昼の部は、『平家女護島俊寛(へいけにょごのしましゅんかん)』から。歿後三百年を迎えた名作者、近松門左衛門の時代物の名作だ。
幕が開くと、そこは絶海の孤島、鬼界ヶ島。俊寛僧都(尾上菊之助)は平家打倒の密議が露見し、丹波少将成経(中村萬太郎)、平判官康頼(中村吉之丞)と共に流罪となり、この島で3年の月日を過ごしている。今回が初役となる菊之助の俊寛は、事前に公開されたスチール撮影の際に「岳父(二世中村吉右衛門)の公演時の写真も拝見しつつ、共演させていただいた時のことも思い出しながら撮影に臨み、公演への思いが高まりました。
近松門左衛門歿後三百年のこの年に、岳父の演じ方を目指し、初代吉右衛門さんにも敬意を払って勤めたいと思っております」と話している。幕開きの憔悴した俊寛の姿は、この孤島での暮らしぶりが窺え、観客を一気に物語世界に引き込む。島で出会った海女の千鳥(上村吉太朗)